人口増加および経済水準の上昇に伴って、私たちは想像を絶する量のプラスチックに囲まれながら社会生活を営んでいます。世界のプラスチック生産量は、2000年から2019年の間に2倍になったと推計されており、2019年には4億6000万トンにも達しています。現在のプラスチック利用のあり方は循環的だとはいえず、大量のプラスチック生産、消費および廃棄を伴う現在の線形の経済モデルは持続不可能であるにもかかわらず、プラスチック生産ならびに廃棄物の発生は増え続ける一方です。それを受けて、再生プラスチック市場の成長、技術革新、および国際協力を通じたシステム変化を引き起こす政策と行動が強く求められています。
そこで、第8回3RINCs国際学会にて、本年2月に発表された『Global Plastics Outlook: Economic Drivers, Environmental Impacts and Policy Options(グローバル・プラスチック・アウトルック)』を東南アジアおよび日本向けにご紹介します。本報告書は、新たなOECDデータベースを活用し、1950年から2019年までの世界各地におけるプラスチックの生産、貿易、使用、廃棄物管理、環境への漏出に関して一貫した包括的な視野を提供するものです。現在の課題の深い理解が、将来的に有効な政策および行動につながるものと認識しています。
また、本イベントでは、プラスチックの乱用防止とリサイクルに重点を置き、環境に関連するプラスチックのイノベーションを時系列で国ごとに定量化・マップ化する良い機会です。環境に関連するプラスチック技術のイノベーションは着実に増加しているものの、2017年のプラスチック全般に関するイノベーションのうち、循環型プラスチックに関するものはわずか1.2%にすぎません。プラスチックのループを閉じ、環境への漏出を減らす方向に技術革新を向けるため、より野心的な政策が必要です。
プラスチック汚染解決に向けた機運は高まり、世界的な条約合意が進みつつあります。特に、各国の目標に加えて、プラスチック削減、リサイクルおよび管理に関する計画を通じて、海洋へのプラスチック汚染漏出防止を各国に義務付ける法的拘束力を持った協定が有力視されています。2月28日から3月2日にケニア・ナイロビにて開催される国連環境会議(UNEA)で、本条約の交渉開始へ向けた共同宣言が正式に採択されました。本地域イベントは、こうした文脈も踏まえて、地域の現状把握に有益な情報を提供します。また、ASEAN地域におけるプラスチックに関する課題および政策の方向性の検討にも寄与することを目指しています。
本イベントは、OECD東京センター、地球環境戦略研究機関(IGES)、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)、3RINCs実行委員会の共催で実施されます。
イベントの詳細
オンライン
発表資料
モデレーター:地球環境戦略研究機関(IGES) 持続可能な消費と生産領域 ディレクター 堀田 康彦
15:00-15:07 | 開会挨拶 | ||
OECD 事務次長 武内 良樹 | |||
廃棄物資源循環学会会長 吉岡 敏明教授 | |||
15:07-15:27 | OECDグローバル・プラスチック・アウトルックの発表 | ||
OECD 環境経済統合課 課長 Shardul Agrawala | |||
15:27-15:57 | パネルディスカッション | OECD 環境経済統合課 課長 Shardul Agrawala | |
ASEAN事務局 環境課 課長 Dr. Vong Sok | |||
テラサイクル アジア太平洋統括責任者・日本代表 エリック・カワバタ | |||
TBC - Nikkei Asia | |||
15:57-16:00 | 閉会 | ||
ERIA リサーチ・フェロー 小島 道一 | |||
OECD東京センター 臨時所長 川口 尚子 |