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本ペーパーは、2023年2月に改訂されたサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)について、特に実質的な変更であると考えられるポイントについて、どのような改訂があったのかを示し、また可能な限りその背景等についての議論を試みた。具体的には、2023年に改訂されたSLLPの以下の点について議論している。
2.1 SLLのインセンティブのニュアンスを弱める
2.2 重要業績評価指標(KPIs)に関する規定を追記
2.3 KPIsが借り手にとってマテリアル(重要)であることを義務化
2.4 SPTに関する要求レベルの引き上げ
2.5 SPTの毎年の設定の追記
2.6 SPTは「開示」よりも「貸し手に提供」のニュアンスを強化
2.7マージン調整がない場合の加筆
2.8 SPTの最新情報の開示を奨励事項と明確化、及び、貸し手に共有すべきとより強いニュアンスに変更
2.9 検証のタイミングや期間についての明確化
2.10 検証結果は開示よりも貸し手への提供というニュアンスを強調
2.11 検証の実施者に関する厳格化
2.12 SPTがローンの前あるいは同時に設定されない場合の明確化
全体的に今回の改訂は、ローンでは情報開示が限定的にならざるを得ないといわれる中で、また、グリーンウォッシュの疑義に関する声がある中で、貸し手への情報提供や毎年のSPTの設定等、それ以外の方法でSLLのインテグリティを高めることを意図したものが多かったと考える。グリーンウォッシュの事例があってもそれがローンの場合には表には出ないことが想定されるため、開示以外の規定を通じて、そのインテグリティや高い野心度のSPTを保証するSLL市場全体の標準化の更なる進展が不可欠である。
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