変電電源の拡大と電力系統の運用

エネルギー・資源所収
Volume (Issue): Vol. 40, No. 2 (2019)
査読付論文

電力系統(電力グリッド)とは、電源・需要家・送電系統のすべてを包含するシステム全体を表す用語である。電力の需給バランスは供給電力が無限であれば常に成り立つが、現実には最大需要kWを予測し、用意した上で、変動する需要に応じて適宜適当な定格kWの発電機を起動させる。起動・停止はグリッドの運用を担うセンター(SO)の指令で行われる。再生可能エネルギーは天候により変動するため変動電源と呼ばれる。変動電源を電力系統に統合することは、変動電源の特性と電力系統の柔軟性がどのように整合するかにかかっている。これからの日本で変動電源を電力需給ミックスの重要な柱とするには、広大な排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電の野心的な開発が必要であり、大型化・沖合に進出するための技術的ブレークスルーは浮体洋上発電であり、日本はこの分野で先導的役割を果たしている。他国EEZへの展開も期待できる。また、日本の送配電網には地域間連系線や、東日本・西日本間の周波数変換設備の容量が小さいという弱点があり、これらの増強がより積極的に進むことを期待したい。

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