本分析では、日本を対象に、産業連関表等を用いてエネルギーサービス需要の変化を明示的に表現したうえでエネルギー需給を定量化し、シナリオ分析を行った。その結果、エネルギー供給側と需要側の対策を同時に進めることだけではなく、デジタル技術の活用やビジネスモデルの変化により労働生産性、資源生産性、暮らしの質を高めることで、日本の累積GHG排出量を1.5℃目標達成に資する水準に抑えた脱炭素社会を達成できる道筋を示した。
3件中 1~3件 (日付順)
エネルギー・資源所収
電力系統(電力グリッド)とは、電源・需要家・送電系統のすべてを包含するシステム全体を表す用語である。電力の需給バランスは供給電力が無限であれば常に成り立つが、現実には最大需要kWを予測し、用意した上で、変動する需要に応じて適宜適当な定格kWの発電機を起動させる。起動・停止はグリッドの運用を担うセンター(SO)の指令で行われる。再生可能エネルギーは天候により変動するため変動電源と呼ばれる。変動電源を電力系統に統合することは、変動電源の特性と電力系統の柔軟性がどのように整合するかにかかっている。これからの日本で変動電源を電力需給ミックスの重要な柱とするには、広大な排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電の野心的な開発が必要であり、大型化...
エネルギー・資源所収
地球温暖化の主因である化石燃料を削減するカギは電力の発生方法である。1990年代以降、電力の低炭素化は進んでいる。世界的に風力発電の普及が進んでいるが、OECDヨーロッパでは、洋上風力発電の普及が目覚ましく、特にデンマークが先導している。デンマークでは1991年に世界初の沖合風力発電ファーム(OWF)が運開し、大型化も進んだ。2010年代に入るとヨーロッパ周辺諸国にもOWF、OWFの大型化が進んだ。世界的に再生可能エネルギー化が進んでいるが、特に太陽光発電と風力発電が目立っており、天候により出力は左右されるものの開発ポテンシャルは大きく、変動電源(VRE)と呼ばれる。日本の電力システムは世界最高水準にあるが、VRE導入は世界から大きく遅れている。国土の適地は少ないが、広大な排他的経済水域...