環境報告書における第三者検証の機能

Date: 2002-No.12
コンファレンスペーパー
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環境という要因が企業経営に与える影響が大きくなるとともに、環境報告書を作成する企業が増加している。環境省が毎年行っている「環境にやさしい企業行動に関するアンケート調査」によれば、環境報告書作成・公表数は1998年には 197件であったが、1999年は270件、2000年は430件と急増し、2001年には579件に達している。近年世論においても環境への意識が高まり、企業の環境に対する行動は益々重要性を増しているため、この傾向は今後も継続するものと考えられる。

環境報告書に記載される情報は、企業の環境保全活動に関する行動目標とその実行結果及び、企業の環境負荷の記録である。これらの情報は企業外部に公表されエコファンドや格付けなどの企業評価等に利用されている。環境報告書は自主的に作成され公表されるものであるが、公表された情報を利用する外部者としては情報の信頼性が重要となる。

その情報の信頼性を担保する方法のひとつとして、環境報告書作成者が第三者に意見を述べてもらう形式の第三者意見書を添付するものが増加している。しかしながら、第三者意見書に求められる機能は様々であるだけでなく、それらは必ずしも明確に区分されていない。さらにわが国では、1998年に最初の第三者意見書が公表されてから第三者意見書の実務に関する詳細な実態調査もなされていない。したがって、本稿では、日本における1998年から2001年の4年間に公表された第三者意見書を包括的に分析し、その機能を区分整理するとともに、情報の保証機能としての環境報告書の第三者検証のあり方を考察する。

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