オンラインシンポジウム開催:生物多様性とライフスタイル~自然の恵み「食」を将来に引き継ぐためにわたしたちができること~

2021年11月22日
プレスリリース

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、環境省が12月14日に主催するオンラインシンポジウム:生物多様性とライフスタイル~自然の恵み「食」を将来に引き継ぐためにわたしたちができること~を共催します。

私たちの命や生活は、生物多様性がもたらす自然の恵み、すなわち生態系サービスに大きく支えられています。しかし、人間活動の拡大を背景に生物多様性は急速に失われつつあり、現在および将来にわたっての様々なリスクが指摘されています。自然共生社会に向けた世界共通の目標であった「愛知目標」の多くが未達成に終わるなど厳しい状況が続く中、人と自然とが共生できる社会への変革を加速させることが、政府、自治体、企業、学術・研究機関、私たちひとりひとりなどあらゆる主体に、より一層強く求められています。

中立的な立場から科学的知見を提供し、政策への活用を目指す政府間組織である生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、報告書で以下のような生物多様性と「食」の密接な関係を明らかにしています。

  • 現在の農業や漁業のあり方が、生物多様性減少の主な要因のひとつである
  • 花粉媒介動物などの生物多様性の減少や集約的農業による生態系劣化は、食料生産の重大なリスクである
  • 私たちの食生活の変化によって、生物多様性保全だけでなく地球温暖化対策にも貢献できる可能性がある

本シンポジウムでは、最も身近な自然の恵みである「食」を切り口に、IPBESの研究成果をはじめとする国際動向の解説に加え、私たちの行動のヒントとなる多様かつユニークな事例を紹介し、豊かな自然を将来に引き継ぐためにできることを一緒に考えます。なお、武内和彦IGES理事長が基調講演を行うほか、パネルディスカッションのファシリテーターを務めます。

紹介予定の事例

  • 生き物と共生する農場づくり(カゴメ株式会社)
  •  生物多様性に配慮した持続可能なお米の仕入れ活動の経済評価(株式会社アレフ、ハンバーグレストランびっくりドンキー運営企業)
  • 「これまで通り」の社会の仕組みから一歩踏み出し、地域循環を目指すパン屋の取り組み(タルマーリー、野生の菌で醸すパン・地ビール、カフェ)
  • 持続可能な資源利用の観点から見る漁業調整と漁村振興(上田勝彦氏、株式会社ウエカツ水産代表、東京海洋大学客員教授)

シンポジウム詳細・参加申し込みはこちらをご覧ください。


生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES: Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)について
生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進める「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもあります。IPBESの評価報告書は世界中の科学者・専門家らによって執筆され、その政策決定者向け要約は、加盟国政府により構成される総会による承認後、公表されます。2021年11月現在、137カ国が加盟、事務局はドイツのボン。
IPBES ウェブサイト https://www.ipbes.net/

 

IGESのIPBESへの貢献について
IGESは2015年以降、日本国環境省の協力のもと、IPBESアジア・オセアニア地域評価の技術支援機関(IPBES-TSU-AP)を設置。2018年に発表された同評価報告書の作成に主要な役割を果たしたほか、2019年2月から「侵略的外来種に関するテーマ別評価」の技術支援機関を担っています。また、生物多様性条約(CBD)事務局が運営する生物多様性日本基金の支援によるアジア・オセアニア地域におけるIPBESに関する能力構築事業の実施やIGES研究員のIPBES報告書執筆への参加などを通して、IPBESの活動に幅広く貢献しています。
IPBES特集ページ  https://www.iges.or.jp/jp/projects/ipbes