気候変動のリスクが、いつどのように現れるのか、またどのような適応策が必要なのかは地域により異なります。そこで地域の利害関係者は適応策の実施において主要な役割を果たすことが期待されます。地域主導の適応(LLA)は、気候リスクに対する強靭性を向上させるためにコミュニティベースのアクションを奨励し、気候変化の直接的な影響を受ける人々に意思決定を委ねる概念です。
現地主導が導く適応策の革新
適応領域では、「Global Center of Adaptation」(GCA)とそのパートナーが提唱するLLAの原則に基づき、アジア太平洋地域におけるLLAの実践と拡大に努めています。具体的には、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)と共同し、とりわけ先住民の地域の伝統的な知識体系の活用に重点を置き、LLAによる革新を推進する地域パートナーシップを構築するプロジェクトを実施しています。本プロジェクトは、ネパールなどの南アジア、ベトナムなど東南アジア、そしてフィジーなど太平洋にモデルケースサイト(MCS)を設置し、LLAを展開する環境に応じた指針を提供し、地域の経験に基づく相互学習を促しています。プロジェクトから得られた教訓は、アジア太平洋地域におけるLLAの実践を拡大し、ゴベショナ・グローバル会議、アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)フォーラム、気候変動枠組条約締約国会議(COP)などを通じて共有されています。
