韓国のカーボンプライシング政策:国内排出量取引制度の設計・運用及び第1期計画期間の取引結果

ワーキングペーパー
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キーポイント

- 韓国の国内排出量取引制度は、5つ部門20以上の業種を対象にして、国の温室効果ガスの約70%をカバーする気候変動政策の中核な制度である。
- 同制度の導入根拠は、2010年制定された「低炭素グリーン成長基本法」により定められ、同法は、温室効果ガス削減のために市場メカニズムに基づく炭素市場及び排出枠取引の活用を強調しながら、今後の国際市場との連携についても念頭にしている。
- 同制度の基本方向及び制度設計について「排出量取引制度基本計画」に盛り込まれており、温室効果ガス削減目標の費用効果的な達成のための排出枠割当に関する事項は「国の排出枠割当計画」によって提示されている。
- 環境部が同制度の主務部庁として、(企画財政部と共同で)基本計画策定、割当計画策定、割当対象事業者指定、割当排出枠の割当決定、排出量報告・検証・認証などを総括する。
- 割当排出枠の割当方式について、第1期計画期間(2015-17)及び第2期計画期間初年度(2018)には、主にグランドファザリング方式が適用されたが、今後ベンチマーク方式が広く適用される見込みである。
- 排出枠の取引のために既存の証券取引所の電子プラットフォームを活用した取引システムが構築されており、第1期の取引の結果、排出枠あたり平均10.758-20,969ウォンの価格で合計1,489件の取引を通じて4,273百万トンの排出枠が取引された。 
- 一方、政府は市場安定化措置を設けており、第1期計画期間中、主に排出枠の供給拡大、市場価格下方安定化のための措置(予備分の市場供給、借入緩和、排出枠追加の割当、繰越制限)を発動した。

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