「二国間クレジット制度(JCM)グローバルパートナーシップ 第4回会合」開催

2025年3月6日
プレスリリース

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)が事務局を務めるパリ協定6条実施パートナーシップ(Paris Agreement Article 6 Implementation Partnership: A6IP)センターは、環境省と共に、「二国間クレジット制度(JCM)グローバルパートナーシップ 第4回会合」を2025年2月17日~19日に東京で開催しました。

JCMグローバルパートナーシップは、JCMを通じた脱炭素プロジェクトの形成、パリ協定6条(市場メカニズム)の実施、持続可能な開発目標(SDGs)の達成等に向けて、JCMパートナー国、日本政府および関係機関、国際機関等、様々な関係者の情報共有を促進することで国際的なパートナーシップ強化を目指すイニシアチブです。今回の会合には、JCMパートナー29カ国のうち19カ国の政府担当者や実施機関関係者、国際機関および国内省庁関係者等約90名が参加し、パートナー国でのJCMのこれまでの実績や課題、今後の可能性について共有するとともに、プロジェクト形成の促進、クレジット発行の拡大、プロジェクト実施の効率化、官民連携の強化等について意見交換を行いました。

本会合の主な議論

(1)各国の経験共有

再生可能エネルギー分野、農業・林業分野、炭素除去・吸収分野における様々な事業投資プロジェクト事例や先進的な構想、支援策等を共有し、案件形成の課題と可能性について議論しました。特に、次世代バッテリー貯蔵、廃棄物発電、浮体式太陽光発電、営農型太陽光発電(農業×太陽光発電)、ソーラー灌漑、米作における間断灌漑によるメタン排出削減技術、森林保全REDD+、炭素回収・貯留(CCS)、泥炭地保全、廃棄物処理、グリーン水素製造等、地域社会への経済・社会的便益を伴う先進分野への投資促進のため、JCMプロジェクトの形成加速と規模拡大が求められること、プロジェクトの形成促進にあたって民間資金と政府支援がますます重要であること等が提言されました。

(2)パリ協定6条に基づくJCM実施加速のための制度整備についての提案・共有事項(概要)

  • JCM実施加速のためのルールおよびガイドラインの改訂に関する提案 
    手続きの簡素化やルール改訂が提案され、緩和クレジット(ITMOs)の評価・配分について説明が行われました。
  • JCMパートナー国におけるJCM実施加速のための進捗共有および事例紹介 
    JCMクレジット移転に向けた相互承認と進捗状況の共有、および各国の炭素クレジット制度でのJCM実施に向けた仕組みの整備事例が紹介されました。
  • パリ協定6条に基づく承認の手続きと初期報告の作成・提出についての提案 
    パリ協定に基づくJCMクレジットの活用に向け、承認手続きや初期報告の重要性が示され、民間企業の安定利用に向けた対応が提案されました。

参加国等

インドネシア共和国、ウクライナ、ウズベキスタン共和国、エチオピア連邦民主共和国、カンボジア王国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、セネガル共和国、タイ王国、チリ共和国、チュニジア共和国、パプアニューギニア独立国、パラオ共和国、ベトナム社会主義共和国、フィリピン共和国、モンゴル国、モルディブ共和国、モルドバ共和国、ラオス人民民主共和国、日本国(環境省、経済産業省、農林水産省、林野庁)、A6IPセンター

A6IPセンターでは、今後も環境省と共に、JCMを含む様々な取り組みをパリ協定6条に基づいて実施できるように世界各国への展開を進めていきます。

 

参考

「第10回JCMパートナー国会合」について
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第29回締約国会議(COP29)ジャパン・パビリオンにて2024年11月18日に開催。詳細はこちら

パリ協定6条とJCMについて
パリ協定は、各国が「国が決定する貢献(NDC)」を策定し、気候変動への対応を進めることを義務付けています。さらに、温室効果ガスの排出削減・吸収量を国際的に取引可能とする「協力的アプローチ(6条)」を規定し、グローバルな削減努力を促しています。

日本は、パリ協定6条に沿ったJCM(Joint Crediting Mechanism)の取り組みを実施しています。JCMとは、グローバルサウス等のパートナー国で、日本政府や日本企業が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた温室効果ガスの排出削減や吸収の効果を、パリ協定6条に沿ってクレジット化し、パートナー国側と日本側で分け合う仕組みです。パートナー国と日本双方のNDCに貢献し、かつ民間企業の参画により両国の経済が活性化することが期待されます。さらに、パートナー国側の環境・経済・社会面の各種課題の解決(持続可能な開発)にも寄与するものです。2013年にモンゴルとの間で初めて署名して以来、これまでに29カ国とJCMを構築し、250件以上のプロジェクトを実施中です。

 

関連リンク

パリ協定本文(英語)
炭素市場エクスプレス「二国間クレジット制度(JCM)」
環境省報道発表「二国間クレジット制度(JCM)グローバルパートナーシップ 第4回会合を開催しました」(2025年3月6日発表)
IGESプレスリリース「COP29におけるパリ協定第6条の完全運用化の実現について」(2024年12月6日発表)

 

【本件に関するお問い合わせ】

パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センター
Email: [email protected]

【このプレスリリースに関するお問い合わせ】

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) 広報担当: 坂本
Tel: 050-5473-6105 e-mail: [email protected] 


「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センター」について

2022年のCOP27において、日本の環境省が主導してパリ協定6条に関する能力構築を支援するA6IPを立ち上げました。また、2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、6条に基づく質の高い炭素市場の早期かつ着実な構築に向けて、各国政府関係者および関係事業者等の体制整備や能力構築の促進を目的としてA6IPセンターが設立され、IGESがその事務局を務めています。2025年3月現在、86カ国、200以上の機関がパートナーシップに参加しています。A6IPセンターでは今後、COP29/CMA6で採択された最新のルールに基づき、UNFCCC事務局や世界銀行といった国際機関等と連携し、各国のニーズに応じた能力構築支援をより強化していきます。