安全かつ持続可能な医療廃棄物管理に関するケーススタディ報告書を発刊

2022年3月23日
お知らせ

IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET)は、ネパール最大の病院のひとつであるトリブバン大学教育病院におけるプロジェクトに基づき、安全かつ持続可能な医療廃棄物管理に関するケーススタディ報告書を発刊しました。本ケーススタディの研究は、日本国環境省による資金援助と国際連合環境計画国際環境技術センター(UNEP-IETC)の支援のもと、国際NGOであるHealth Care Without Harm、ネパールで活動するHECAF360、および WHOネパールとの協業で実施されました。 

現在、医療廃棄物管理のあり方が、世界的にますます注目を集めています。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、医療現場では膨大な感染性廃棄物が日々発生しています。他方、持続可能な開発目標(SDGs)およびパリ協定を受けて、昨年開催されたCOP26においては50カ国以上がグリーンで、気候に対してレジリエントかつ低炭素な医療システムを促進することを約束しました。

本ケーススタディは3R(リデュース、リユース、リサイクル)に基づいた医療廃棄物管理の改善を通じて、安全性および資源効率性を高めつつ廃棄物発生を抑える方策を示しています。IGESは本領域について、特に、インフラや予算の不足、関連政策や法規制の欠如、キャパシティの乖離に直面する途上国に対して科学的知見ならびに実践的な助言を提供してきました。資源効率および循環経済の概念は、気候変動をはじめとする環境に配慮した医療廃棄物管理システムの構築に向けた本ケースの基本計画にも取り入れられています。

Health Care Without HarmにてInternational Science and Policy Coordinator を務めるRuth Stringer氏は、「本プロジェクト以前は、トリブバン大学教育病院で発生した医療廃棄物は、焼却されるか投棄されるかのいずれかで、温室効果ガスや他の汚染物質が放出されていました。現在では、(分別が進み、これまではごみとして最終処分されていたものを有価物として扱えるようになったため)廃棄物のほぼ3分の1がリサイクルされるようになりました。バイオダイジェスター(嫌気性消化槽)はすべての有機化合物を処理することができ、メタンガス排出削減および害虫ないし感染媒介源を除去することができます」と説明しています。

CCET センター長であるPremakumara Jagath Dickella Gamaralalageは、「本ケーススタディは、リデュース、リユース、リサイクルという3Rの概念を積極的に取り入れたトリブバン大学教育病院における優良事例や知見を共有しています。同様に、健康へのリスクを最小化するために適切な技術を採用し、その結果として公衆衛生や人々の生活、さらに生態系の改善につなげていく重要性にも焦点を当てています」 と述べています。

IGESは科学的知見に基づくガイダンスが、地球ならびに私たちの健康をより良いものとし、私たちの生活環境およびライフスタイルへの悪影響を軽減するとの認識のもと、本領域における研究を続けています。今回のケーススタディ報告書は以下よりご覧ください。

 
ワーキングペーパー
著者:
Stringer
Ruth

This case study reports on the development of a healthcare waste management (HCWM) system at Tribhuvan University Teaching Hospital (TUTH) in Nepal where the intervention began in 2014 with support from HECAF 360, a local NGO, and Health Care Without Harm (HCWH), an international NGO, and WHO Nepal. It describes the approach and path followed by...

 

関連リンク

Health Care Without Harm
HECAF360
WHO Nepal
International Environmental Technology Centre (UNEP-IETC)