IGESはSDGs各目標の相関性をわかりやすくビジュアル化したデータ分析&可視化ツールの最新版 SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool (Version 4.0) (無料)(以下、本ツール)を公開しました。
SDGsに関する統合的な政策立案支援に向けてIGES戦略的定量分析センター(2021年7月よりサステイナビリティ統合センターに統合)が2015年に開発した本ツールは、SDGsの各ターゲット間の相互作用を定量化し、それをビジュアル化することで、潜在的なシナジーとトレードオフの特定を可能にするものです。SDGsの計画策定に関わる政策決定者の皆さまに広くご活用いただけるよう、その後も分析手法の改善やインターフェース強化等のアップデートを重ねました。最新版の4.0では、選択した項目が保存できるようになり、新規ターゲットを追加できる機能が新しく加わりました。
SDGsの17の目標とそれぞれに関連する169のターゲットは、相互に作用し補完し合う多様な要素を含んでおり、複雑なネットワークを形成しています。そのため、SDGsを効果的に実施するためには、部門横断的な統合と組織的な協働によるシナジーを追求・拡大しながらトレードオフを最小化するシステムアプローチが必要となります。
一方で、SDGsの各目標の範囲は幅広く、それぞれの関連性について把握しきれていない現状が課題となっています。そこでIGESは、持続可能な開発のための2030アジェンダの共同実施と一貫性のある政策の促進を目指して、SDGs各目標間のシナジーとトレードオフの分析に注力し、本ツールを開発しました。
本ツールの分析対象である27の国々は、様々なレベルの社会経済的および環境的課題に直面しており、また世界経済においてもますます重要な役割を果たすようになってきています。
本ツールによるSDGs相互関連性分析の結果は、国際・国家・地域・地方自治体等あらゆるレベルにおいて、政策の統合や政策の一貫性を管理するためのデータとして活用されています。国際レベルにおいては、国連経済社会局(UNDESA)が2020 Handbook for Voluntary National Review (VNR) にSDGs統合の実用的な手段の一例として本ツールを掲載しており、また国連経済社会理事会(UNECOSOC)は High Level Political Forum 2020 Exhibitionのグッドプラクティスとして本ツールを選定しています。
このほか、SDGsの国家開発計画への統合に関するUNDESAのVNR(自発的国家レビュー)能力開発支援においても活用されました。国家・地域・地方自治体レベルにおけるステークホルダーとの協働を通じた具体的な活用事例は以下の通りです:
- 1. インドネシア・西ジャワ州でのSDGと気候変動対策の統合に向けた計画、優先順位設定におけるステークホルダーの関与に基づく事例研究
- 2. ベトナムにおける持続可能な消費と生産に関する国家行動計画(2020-2030年)の策定支援
- 3. インドネシアの国家SDGs ロードマップにSDGs相互関連性に関する章が含まれ、またIndonesia’s Voluntary National Review 2021においてもSDGs相互関連性の議論が取り上げられた
SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool (V4.0) のウェブサイトから、分析手法や参考資料、関連出版物などの情報をご覧いただけます。
While being broadly framed as 17 separate and diverse elements, Sustainable Development Goals (SDGs) and associated targets inherently interlink with one another making up indivisible parts of sustainability from a systemic perspective. Actions or measures taken for achieving one goal may be mutually reinforcing or contradictory with achieving...