一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)および公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」について、日本企業の取り組み実態に関する最新の調査結果をとりまとめた、SDGs日本企業調査レポート2019年度版「ESG時代におけるSDGsとビジネス~日本における企業・団体の取組み現場から~」の英語版「SDGs and Business in the ESG era: Actions by Companies and Organisations in Japan」を公開しました。
4年目となる今回のレポートでは、GCNJ会員(335企業・団体)へのアンケート調査結果と16の金融機関・事業会社へのヒアリング結果をもとに、GCNJ会員のSDGsに関する認知度や取り組み状況の経年変化を分析するとともに、新しい経営戦略のひとつとして注目を集めているESG(企業経営における環境=Environment、社会=Social、ガバナンス=Governanceに関する取り組み)への対応について、金融機関と事業会社双方の観点から考察をしています。また、ヒアリング調査を行った金融機関と事業会社の事例を掲載しており、SDGsおよびESGの取り組みの参考にしていただける内容となっています。
【レポートのハイライト】
- SDGsへの取り組み状況の経年変化に関するこの1年間の大きな特徴は、経営陣の認知度がCSR担当者に並ぶまでに向上したことと、SDGsが本格的に経営課題として位置付けられてきたことである。
- 経営陣のSDGsに関する認知度が上昇し(59→77%)、CSR担当者の認知度と同じ値に。中間管理職の認知度も18%から33%まで増加。
- SDGsの推進活動主体は、CEO、取締役会、経営執行会議体、経営企画部門がそれぞれ増加(CEO:14→19%、取締役会:6→9%、経営執行会議体:6→16%、経営企画部門:25→38%)。その一方で、CSR部門は減少(71→60%)。
- 今後のSDGsの取り組みを聞いた設問でも、「自社の戦略・経営計画に反映する」が3年連続で増加(48→59→68%)。その一方で、「CSRの重点課題に反映する」は3年連続で減少(63→58→47%)。
- 高いESG評価を受けている企業は、長期目標の設定だけでなく、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同やScience Based Targets(SBT)に基づく目標設定を早い段階で行い、科学的知見に整合的な道筋を示すよう努力していた。そうした企業は、情報開示とエンゲージメントを上手く活用し、自社のサステナビリティ経営を改善するサイクルを構築しつつ、一連のプロセスの中で事業部門や従業員、あるいは取引先や消費者との結びつきの強化も図っていた。
- 企業や政府が、SDGsやパリ協定のための野心的な目標とそこに至るロードマップを科学的知見と整合性のとれた形で示すことが、ESG投融資の活発化とサステナブル金融商品の増加の後押しとなる。
- ESG投融資の拡大やサステナブル金融商品の拡充が進む一方で、市場拡大・商品拡充そのものが目的化しないように留意が必要。SDGsを考慮すること=投融資の判断プロセスとして取り組むことと、SDGsに貢献しているか=具体的な結果が出ているかは別であり、これからは社会環境課題の解決へ向けた効果を測定するインパクト評価などが求められていく。インパクト評価は、国内での実施はまだ限定的だが、SDGsやパリ協定の目標達成に貢献するためには投融資の判断に積極的に取り入れていくべきである。
本レポートの詳細は、以下リンクよりご覧ください。
英語版:「SDGs and Business in the ESG era: Actions by Companies and Organisations in Japan」
日本語版:SDGs日本企業調査レポート2019年度版「ESG時代におけるSDGsとビジネス~日本における企業・団体の取組み現場から~」
【一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ: Global Compact Network Japan)について】
国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、人権、労働、環境、腐敗防止の10原則とSDGsを実践し、持続可能な成長を実現するための世界的な組織です。GCNJは、2003年12月に日本におけるローカルネットワークとして発足しました。日本におけるUNGC活動の推進と、サステナビリティ戦略の実践を目指す企業や組織に対して、学習・協働・発信などのためのプラットフォームを提供することによって持続可能な世界を実現することをミッションに活動を行っています。2020年1月末現在、加盟企業・団体数は、345となりました。SDGsの達成に向けて会員の皆様や関連機関と共に推進する活動情報等はこちらをご参照下さい。http://www.ungcjn.org/sdgs/index.html