公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)は、SOMPOホールディングス株式会社と共同で、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が2025年9月に発表したレポート「Getting Ahead of Physical Risk」および「Physical Risk and Resilience in Value Chains」の日本語翻訳版を作成しました。
近年、激甚化・頻発化する自然災害は、経済活動や生活基盤を揺るがす「現在進行形の危機」となっています。グローバルなバリューチェーンのあらゆる結節点で生じる損害は、累積的に深刻な財務リスクへと転換されます。そのため、物理的リスクへの対応はもはや将来の課題ではなく、企業価値そのものに関わる重要な「経営テーマ」と位置づけられつつあります。
日本企業においてもサプライチェーン分断への関心は極めて高いものの、物理的リスクを財務戦略や中長期的な経営判断にまで昇華させるプロセスには、いまだ改善の余地が残されています。今回翻訳した2つのレポートは、経営層がいかにリーダーシップを発揮し、組織横断的な対話を主導するべきかという問いに対し、具体的な指針を提示するものです。
- ● 「物理的リスクに先手を打つ(Getting Ahead of Physical Risk)」
バリューチェーン全体の物理的リスクに取り組むべき本質的な理由を説明しています。気候変動対策を単なるコストではなく、将来の収益を守るための「投資」であると捉え直すための力強い材料を提供します。 - ●「バリューチェーンにおける物理的リスクとレジリエンス(Physical Risk and Resilience in Value Chains)」
経営層の連携のための実践的なハンドブックです。自社拠点に留まらず、サプライヤーや物流網を含むバリューチェーン全体のリスクを特定し、ガバナンスや投資判断に組み込むための具体的な手法を示しています。
※日本語版は、WBCSDサイトの上記ページ内、"Download publication"(オレンジ色のボタン)よりダウンロードが可能です。
これら2つのレポートが、日本のビジネスリーダーに組織の枠を超えた対話を促し、自然と共生するレジリエントな社会への転換と持続的な価値創造に向けた「実践的な道標」となることを期待しています。
なお、両翻訳版は、2026年3月18日に東京で開催された「WBCSD Summit on Enabling Corporate Performance」にて公表され、レポートが提起する内容について活発な議論が行われました。本イベントには武内和彦IGES理事長も登壇し、2つのレポートの意義を説明するとともに、背景にある地球環境の危機的状況と、目指すべき「自然と共生するレジリエントな社会」への転換について、話題を提供しました。
