2024年5月、IGESとラオス人民民主共和国のビエンチャン特別市農林業事務所(Provincial Agriculture and Forestry Office, Vientiane Capital)は基本合意書(MOU)を取り交わし、都市緑化分野の各種事業を推進すべく、向こう5年間にわたり協働していくことを正式に約束しました。
ラオス人民民主共和国の首都・ビエンチャン特別市(2022年人口:約98万9,000人)は面積39万2,000ヘクタール、市域の約3割の土地が森林とされています。1990年代以降、同市域の森林面積は減少し続けており、経済活動の拡大・活発化によるさらなる土地劣化・森林減少が懸念されています。市域の農林政策を担う同市農林業事務所は、育苗・植樹の取り組みを進めてきてはいるものの、近年は沿道緑地での樹木苗枯損のほか、郊外の乾燥フタバガキ林域や保護区において農地開発・森林伐採が進むなど、多くの課題を抱えています。
本協働事業に取り組むIGES国際生態学センター(JISE)は、同市農林業事務所およびラオス国内の連携協働機関と協議を続け、ビエンチャン特別市内での生物多様性保全に配慮した着実な緑化・森林再生を実現するため、苗木生産体制の強化、生物多様性配慮のための人材育成・環境教育支援・能力開発等を提案しています。2024年度にはその手始めとして、緑化予定地の環境に適した在来種樹(ネイティブツリー)の苗木、年間5万本の生産体制の構築を目指します。
日本・ラオス両国は2025年に外交関係樹立70周年を迎えます。この記念すべき年を契機として、互いの知見や技術を持ち寄り、農林業・環境分野での実務的な協働をさらに進め、国・地域およびコミュニティレベルでの信頼関係のさらなる強化と、農林産物の輸出入を通して自然資源を共有する両国の友好的パートナーシップによる「地域循環共生圏」の醸成に貢献してまいります。
なお、これらの活動は、公益信託経団連自然保護基金からの助成支援を受けて実施されます。
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連携協働機関:
- ラオス農林省林野局
- ビエンチャン特別市農林業事務所
- ビエンチャン特別市林業セクション
- ルアンプラバン県林業セクション