「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センター」の運営開始

2023年11月10日
プレスリリース
A6IP

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)は、2023年G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合において各国の歓迎を受けて環境省が設立した「パリ協定6条実施パートナーシップ(Paris Agreement Article 6 Implementation Partnership: A6IP<エイシックスアイピー>)センター」(日本語略称「6条センター」)の運営を開始しました。IGESが事務局を務めるA6IPセンターは、市場メカニズムを定めるパリ協定6条(以下、6条)に基づく「質の高い炭素市場(high integrity carbon markets)」の早期、かつ着実な構築に向けて、各国政府関係者および関係事業者などの体制整備や能力構築の促進を目的としています。

【背景】
6条を最大限に活用し、世界の温室効果ガスの削減と経済成長に同時に寄与する脱炭素市場を実現するためには、グローバルな脱炭素技術が展開できる市場や、民間投資が活性化する「質の高い炭素市場」を構築する必要があります。他方、6条の実施において必要となる6条ルールの理解の促進、実施体制の構築や人材育成と国際連携が喫緊の課題となっていました。これを受けて環境省は、関係各国・機関とともに、6条支援状況の共有と分析を通じて、協力形態の特定や活動内容の具体化を進めました。そして昨年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第27回締約国会議(COP27)で、日本が中心となりA6IP(https://a6partnership.org/)を立ち上げました。A6IPには、2023年11月時点で69カ国34機関が参加しています。

A6IPの中核となるA6IPセンターは、多様な参加国・機関の幅広いニーズにこたえる支援を持続的に提供していくために設立されました。パートナーとなる国や機関を対象としたワーキンググループやCOP28 でのサイドイベント等を通じた最新の情報発信を行う他、パートナー国の6条実施に向けた能力構築支援の一環である支援パッケージを準備しています。

IGESはA6IPセンターの事務局として、国際機関、特にUNFCCC事務局、世界銀行と協力して活動し、6条実施に関わる各国の能力構築支援を一層推進して参ります。

 

【A6IPセンター支援パッケージ】
A6IPセンターでは、パートナー国のニーズ、優先事項、準備状況に基づいて支援パッケージをカスタマイズし、提供します。支援パッケージの概要は以下の通りです。

  • 6条の優先事項と戦略の確立 (6条の原則論、6条参加の範囲と野心、6条参加の適格基準)や、公正な移行への配慮を踏まえた、削減ポテンシャルと削減コストの定量的分析
  • 承認: 承認プロセスのための法的・制度的枠組み(承認の範囲、承認の時期、緩和活動の承認条件、認可書のひな型など)の確立
  • 報告: 初期報告書、年次報告書、6条報告書のタイムラインと要件に合致した定期情報報告書の作成、対応する排出収支の調整方法、6条報告書と13条隔年透明性報告書の相互関係の調整
  • 記録:国際的に移転される緩和成果の登録、承認、移転、取消に使用する国内登録簿または国際登録簿の使用
  • 具体的な気候変動リスク緩和策を促進させるため、6条に従った事業(以下、6条プロジェクト)の立ち上げ支援: 6条プロジェクトのパイプラインの準備、6条プロジェクトの実現可能性評価、資金調達またはカーボンファイナンスとクライメートファイナンスの混合融資を求める6条プロジェクトコンセプトの開発
  • 方法論の開発: 6条プロジェクトの対象となるプロジェクトの緩和成果を試算するための手法の開発、ベースラインの開発と適用

A6IPセンターでは、その他、様々なテーマについて、パートナー国や機関との協議を受け付けています。