公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES:アイジェス)が支援する、東京都とクアラルンプール市の建築物の脱炭素化に向けた連携が、C40(世界大都市気候先導グループ)から、都市の優れた取り組みとして表彰されました。2021年11月に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では、世界の気温上昇を産業革命前に比べ1.5℃以内に抑える努力を追求することが合意されました。この目標を達成するためには、各国の州、市、区等、様々な都市レベルの取り組みを加速させることが必要不可欠です。さらに、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況下で、都市は関連する課題に対処すると同時に、持続可能な開発を達成するための方策について再調整や検討を迫られており、都市間の連携による新たな手法、新たな都市の構築が期待されています。IGESは、今後も都市が主導する気候変動対策プロジェクトを後押しし、脱炭素社会の形成に貢献していきます。
C40とは
C40は、気候変動対策に積極的に取り組む約100の大都市等から構成される国際都市ネットワークです。
C40アワードとは
C40アワード(C40 Cities Bloomberg Philanthropies Awards)は、都市が主導する最も野心的でグローバルなインパクトがある気候変動対策プロジェクトを称えるもので、2013年から数年に一度実施されています。2022年は、「行動で団結(United in Action)」をテーマに、5つの部門で、優れた取り組みが2つずつ選定されました。
C40アワードにおける5つの部門
- 1. 交通、建築物、エネルギー、廃棄物等の重要分野における行動の加速
- 2. 大気
- 3. 気候レジリエンス
- 4. イノベーション
- 5. 気候ムーブメント
2022年のC40アワード受賞について
アワードの受賞結果は、10月19日からアルゼンチン・ブエノスアイレス市で開催中のC40世界首長サミットにおいて発表され、東京都とクアラルンプール市の連携は、気候ムーブメント部門でアワードを受賞しました。東京都の受賞は、2013年にキャップ&トレード制度で受賞して以来、2度目です。
IGESが支援する東京都とクアラルンプール市の都市間連携の概要
IGESと東京都は共に、2019年度より環境省の「脱炭素社会実現のための都市間連携事業」を活用し、マレーシア・クアラルンプール市における建築物の脱炭素化に向けた制度構築を支援してきました。具体的には、東京都が実施する建築物の脱炭素施策のうち、都有施設における省エネ・再エネ対策を中心とする政策ノウハウをクアラルンプール市に共有すると共に、現地ワークショップや訪日研修を行い、コロナ禍においてもオンラインによる50回超のミーティングを重ね、実務的な情報提供や意見交換を行いました。
これまでの成果としては、クアラルンプールの市有施設の改修計画の策定、市有施設の新築・改修・運用段階におけるエネルギー管理体制のガイドライン化を進めたことがあげられます。連携の内容は、マレーシアの他、ジャカルタをはじめとした東南アジア諸国連合(ASEAN)の自治体等にも知見共有を行っています。IGESは2022年度も、オンラインワークショップ等による情報共有を通じて、東京都とクアラルンプール市の都市間連携の支援を継続しています。