「河川流域におけるSDGsの各目標の相関性がわかるオンラインツール」を公開

2021年12月9日
プレスリリース
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IGESは、河川流域で観察・予測されている変化が様々な持続可能な開発目標(SDGs)のゴールおよびターゲットにどのように関わっているかを時間的・空間的な観点から評価する「河川流域におけるSDGsの各目標の相関性がわかるオンラインツール」(Interactive SDG Tool for River Basins)を2021年12月9日に公開しました。


Interactive SDG Tool for River Basinsは、国レベルおよび地域・自治体レベルでのSDGsを達成するために、中国の北部を流れるらん河流域を「リビングラボ」として国と地域レベルの SDGs達成に向けた研究プロジェクト(Luanhe Living Lab)の成果物です。2年に及んだ本プロジェクトには、英国のグラスゴー大学、ラフバラ大学とブルネル大学、中国の南開大学、そしてIGESがパートナーとして参加し、また英国自然環境研究評議会(NERC)、中国国家自然科学基金委員会(NSFC)、科学技術振興機構(JST)の資金提供がありました。


Luanhe Living Labプロジェクトでは、国レベルでの社会統計に基づきSDGsを推進しようとすると、地域・自治体レベルでは各ゴールとターゲット間のトレードオフにより、社会的な不平等が生まれる可能性があると仮定しました。このため、本プロジェクトでは、対象とする地域・自治体レベルでの各ゴールとターゲット間のシナジーとトレードオフについて、科学的根拠に基づく政策関連情報を採用し、人間と環境の相互作用についての理解を深めることを目指しました。中国のらん河流域でのケーススタディーにおける地域規模は、人間と環境の相互作用を研究するための理想的な地理的範囲を構成しています。本プロジェクトを進めるにあたり、大規模な河川流域の開発計画と土地利用変化の様々なシナリオの下での水循環、土砂輸送、洪水リスク、生態系サービスを理解するために、最先端のモデリングと分析アプローチを用いました。そして関連するステークホルダーと積極的に連携し、このInteractive SDG Tool for River Basinsを開発しました。


本ツールは、国レベルでの統合的なSDGs政策立案を支援するために2015年から開発・更新されてきたIGESのSDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool (Version 4.0) をベースにしています。SDG Interlinkages Toolは、SDGターゲット間の定量化された因果関係を可視化し、潜在的なシナジーやトレードオフを特定し、各国の進捗状況やパフォーマンスを時系列で比較することができます。


Interactive SDG Tool for River Basinsのウェブサイトから、分析手法や参考資料、関連出版物などの情報をご覧いただけます。
リンク Interactive SDG Tool for River Basins
リンク Luanhe Living Lab Project

 

関連出版物
Lessons learnt from synergies and trade-offs between SDGs at the sub-national scale – Research Brief