IGES、損保ジャパン、トヨタ自動車、富士通が WBCSDの「Vision 2050 :Time to Transform」日本語翻訳版を共同作成

2021年10月26日
プレスリリース
WBSCD_Vision2050

この度、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、損害保険ジャパン株式会社、トヨタ自動車株式会社、富士通株式会社は、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)による「Vision 2050 :Time to Transform」(ビジョン2050)の日本語翻訳版を共同で作成し、2021年10月26日に発行したことをお知らせします。

「ビジョン2050」は、「今世紀半ばまでに90億人以上がプラネタリーバウンダリー*(地球の限界) の範囲内で真に豊かに生きられる」世界の実現に向けて、企業が変革を主導することをサポートすることを目的として作成されました。

「ビジョン2050」の背景

最初の「ビジョン2050」は2010年に、持続可能な世界とはどのようなものか、どのようにしてそのような世界を創り出すことができるのか、その実現のためにビジネスはどのような役割を果たすべきかを探求した報告書として、発表されました。

それから10年、いくつかの大きな変化はあったものの、世界はまだ従来通りの枠組みから抜け出せずにいます。WBCSDは、最初の「ビジョン2050」で示された変革が起こらなかった理由を解明すること、そして世界が必要としている不可欠かつ喫緊の大変革を推進する上で活用できるリソースを企業に提供するべく、2年間の議論を経て「ビジョン2050」を更新しました。

この更新作業は、WBCSD事務局のほか、40名以上の世界のビジネスリーダーと、武内和彦IGES理事長を含む世界中のさまざまな分野の専門家で構成される外部レビュー委員会の協働により行われました。また、日本語訳はIGESが中心となり、「ビジョン2050」プロジェクトに参加した損害保険ジャパン株式会社、トヨタ自動車株式会社、富士通株式会社の協力を得て作成されました。

「ビジョン2050」のハイライト

  • システムがどのように変革するかを描き、今後10年間のビジネス活動の指針となる新たな枠組みを提示。
  • この枠組みの中心となるのは、9つの変革の道筋(企業が取るべき行動のルート)であり、社会に不可欠な事業活動の分野である、エネルギー、交通・輸送とモビリティ、生活空間、製品と物質・材料、金融商品・サービス、コネクティビティ、健康とウェルビーイング、水と衛生、食料を網羅。
  • ビジョンと変革の道筋は、持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定の目標に沿っており、9つの変革の道筋には、それぞれ10年先を見据えた10の行動分野が含まれる。
  • これまでのビジネスを超えて変革を加速させるために、①真の価値創造に報いるような資本主義の刷新、②変化やディスラプションを予測し、受け入れ、適応するためのレジリエンス、③社会・環境システムを回復、成長させる能力を構築する再生、の3つの発想を提示。

企業は変革の主要な担い手として、この報告書を活用しリーダーシップを発揮することが期待されます。同時に、この報告書は企業だけではなく、政府や地方自治体、投資家、研究者、市民社会組織、消費者などにも広く読まれることが強く望まれます。システム変革は全員がチェンジメーカーになることではじめて可能になることから、この日本語翻訳版が、幅広いステークホルダーの間での対話を促し、それぞれの意思決定に組み込まれ、行動のきっかけとして役立てられることを願っています。

尚、「ビジョン2050」の内容は11月24日-12月3日開催予定の「第13回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2021)」でもご紹介します。ISAPは、アジア太平洋の持続可能な開発に関する多様な議論を行うことを目的としたフォーラムで、IGES主催により、毎年日本で開催しています。

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)について
WBCSDは持続可能な世界への移行の促進を目指す世界の主要企業200社のCEOが主導しています。持続可能な開発に関する重要課題の具体的な解決に取り組む上で、今世紀半ばまでに90億人以上がプラネタリーバウンダリーの範囲内で真に豊かに生きられる世界への移行を促進させ、持続可能性の高い企業を成功させることを目指しています。


*プラネタリーバンダリー(地球の限界):現在、人類が地球システムに与えている圧力は飽和状態に達しており、気候、水環境、生態系など、地球が本来持っている回復力の限界を超えると、不可逆的変化が起こりうるという考え。


「Vision 2050 :Time to Transform - いかにして企業は世界が求める大変革をリードできるか」


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