ASEAN+3における循環経済および海洋プラスチック汚染防止に関する政策研究強化に向け、IGESと東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が覚書締結

2021年1月7日
プレスリリース

本日、地球環境戦略研究機関(IGES)および東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)は、データに基づく政策立案および知見の発信を強化すべく、今後5年間にわたる戦略的提携に関する覚書(MoU)を締結しました。

本覚書は、組織間での包括的な協業を前提としていますが、まずは海洋プラスチック汚染防止などの循環経済分野での協業を進めることで合意しています。最初の共同プロジェクトとして、「データに基づく海洋プラスチックごみに関する政策研究プロジェクト(Data Driven Policy Research Programme on Marine Plastic Debris)」を、ERIAの海洋プラスチックごみに関する地域ナレッジセンター(RKC-MPD: Regional Knowledge Centre for Marine Plastic Debris)を通じて実施予定です。IGESからは職員1名が出向し、現地で業務に当たります。

近年の急激な人口増加ならびに経済成長に伴い、東南アジアにおける資源消費は増加の一途をたどっています。RKC-MPDは、東南アジアおよび東アジアが海洋プラスチックに関する最大の汚染源となっていることへの危機感を背景に、2019年10月に日本国政府の財政的支援のもと、ERIAによって設立されました。RKC-MPDは、海洋プラスチック汚染に関する政策ないし優良事例や知見といった情報交換を促進することにより、ASEAN+3諸国(ASEAN加盟10か国と日本、中国、韓国の13か国)における国および地域間協力を深める機能を担っています。

IGESは循環経済および資源循環領域で専門性を長年にわたって有し、G20プロセスへの技術的貢献に加えて、東南アジア諸国に対する海洋ごみに関する政策諮問など、多くの国際支援を行ってきました。他方、ERIAは、研究および政策分析を通じて、ASEAN経済共同体の構築、東アジアにおける広範な経済統合および持続可能な開発、地域の開発格差是正に貢献してきました。

武内和彦IGES理事長は、「IGESは、ERIAと協力の上、 当該地域における喫緊の海洋プラスチックごみ問題への対処に積極果敢に取り組んでまいります。本協業を通じて、IGESが循環経済ならびに持続可能な政策立案のさらなる推進に、より広範に貢献できることを願っております」と述べています。

西村英俊ERIA事務総長は、「ERIAは、アジアにおける持続可能な消費と生産に向けた政策立案の分野で経験に富んだIGESとパートナーシップを組むことを喜ばしく思っております。今般、署名をすることとなった覚書(MoU)が、ASEANならびに東アジア諸国の発展に資する、実り多き協力関係の始まりとなることを願っています」と述べました。

海洋プラスチック汚染はグローバル化した世界を象徴する課題であり、単一の国では諸々の問題に対して長期的解決策を示すことは困難です。この問題に地域全体で取り組む必要性を認識し、ASEAN + 3諸国の全面的な協力と支援のもと、IGESとERIAは、双方の専門性を結集して、地域の持続可能性の鍵として循環経済を促進し、地域のための政策提言を進めてまいります。