3月26日、IPBES「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」の政策決定者向け要約(SPM)の日本語版が公開されました。この日本語版は、環境省とともに、IGESが翻訳に携わったものです。
IPBESは、生物多様性と生態系サービスに関する科学や伝統知識などの幅広い知見を収集・体系化し、中立的な立場からこうした知見に基づく政策の実現を支援する政府間組織で、「生物多様性版のIPCC」とも呼ばれています。IGESは2015年から「生物多様性・生態系サービスに関するアジア・オセアニア地域評価」の技術支援機関として評価報告書作成(2018年3月)を支援したほか、2019年2月には「侵略的外来種に関するテーマ別評価」の技術支援機関を設置するなど、継続的に貢献を続けてきました。
本報告書では、自然と自然の寄与は世界的に劣化していて、このままでは生物多様性を将来世代に受け継いでいくことや持続可能な社会を実現することが困難だと指摘しています。一方で、社会変革(transformative change)に向けた緊急かつ協調的な努力により、自然を保全、再生、持続的に利用し、かつ国際的な目標を達成することは可能だとも述べています。生物多様性に関する次の世界目標(ポスト2020目標)の議論が進められる中、世界の生物多様性と生態系サービスの現状を概観し、自然の恵みを継承できる自然共生社会を考える上でも、必読の内容となっています。
報告書はこちらよりご覧ください。
https://www.iges.or.jp/jp/pub/ipbes-global-assessment-spm-j/ja
IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)について
生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年に設立された政府間組織。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもある。IPBESの成果物は世界中の科学者・専門家らによって執筆され、加盟国政府により構成される総会による承認後、公表される。2020年3月現在、136カ国が加盟、事務局はドイツのボン。
https://www.ipbes.net/