シンポジウム「自然共生社会の実現に向けた社会変革~ IPBES地球規模評価を踏まえて次期生物多様性世界目標を考える」の共催 ―最新の地球規模の包括的な科学評価報告書を受けて―

2019年11月21日
プレスリリース

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、12月21日に東京で開催される環境省主催のシンポジウム「自然共生社会の実現に向けた社会変革~IPBES地球規模評価を踏まえて次期生物多様性世界目標を考える」を共催いたします。これは、全世界における人と自然との関わりについての最新の包括的な科学評価である「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書(以下、IPBES地球規模評価報告書)」の発表を受けたもので、同報告書からの主要なメッセージを日本語で解説し、日本や地球の豊かな自然とその恩恵を将来世代に受け継いでいくために何ができるか、広く意見交換する初の機会です。

IPBESは、生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織です。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進める気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもあります。近年の急激な環境変動や将来の不確実性を背景に、信頼性の高い科学的根拠に基づく意思決定の重要性が高まっています。特に生物多様性については、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)で採択された愛知目標が2020年に期限を迎え、ポスト2020目標の検討が進む中、IPBESが提供する科学的根拠が重視されています。

本年5月にフランスのパリで開催されたIPBES第7回総会では、IPBES地球規模評価報告書の政策決定者向け要約が承認されました。本報告書は、人類の存在に不可欠な自然の役割を明らかにした上で、自然が全世界で急速に失われつつあることを指摘しています。一方で、持続可能な社会への変革(transformative change)に向けて迅速かつ協調的な努力をすることで、自然の保全、再生および持続可能な利用の実践を促進し、生物多様性条約や持続可能な開発目標(SDGs)といった国際的な目標を達成できる可能性も示唆しています。このような社会変革には、市民ひとりひとりの意識と行動の変革が欠かせません。

本シンポジウムでは、IPBES地球規模評価報告書からのメッセージと有識者の見解および国内での実践例を紹介した上で、ポスト2020目標に求められるもの、そして自然共生社会の実現に向けてひとりひとりができる行動について考えます。IGESは、同報告書の政策決定者向け要約の日本語版制作に協力したほか、当日は武内和彦理事長による基調講演および一部のグループディスカッションの進行を務める予定です。

詳細はイベントページをご覧ください。

 

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES: Institute for Global Environmental Strategies)について
IGESは、アジア太平洋地域における持続可能な開発の実現に向け、国際機関、各国政府、地方自治体、研究機関、企業、NGOなどと連携しながら、気候変動、自然資源管理、持続可能な消費と生産、グリーン経済などの分野において実践的な政策研究を幅広く行っています。1998年、日本政府および神奈川県の支援により設立。本部は神奈川県葉山町に所在し、約100名の研究者を擁し、その約3分の1が外国籍。関西(兵庫県)、北九州、北京、バンコク、東京の各センター・事務所と共に、グローバル及びアジア太平洋地域のネットワークを生かした戦略研究を展開しています。
http://www.iges.or.jp/

 

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES: Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)について
生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもあります。IPBESの評価報告書は世界中の科学者・専門家らによって執筆され、その政策決定者向け要約は、加盟国政府により構成される総会による承認後、公表されます。2019年11月現在、132カ国が加盟、事務局はドイツのボン。
https://www.ipbes.net/

IGESのIPBESへの貢献について
IGESは2015年以降、日本国環境省の協力のもと、IPBESアジア・オセアニア地域評価の技術支援機関(IPBES-TSU-AP)を設置し、2018年に発表された同評価報告書の作成に主要な役割を果たしました。今年2月から「侵略的外来種に関するテーマ別評価」の技術支援機関を設置しています。また、生物多様性条約(CBD)事務局が運営する生物多様性日本基金の支援によるアジア・オセアニア地域におけるIPBESに関する能力構築事業の実施やIGES研究員のIPBES報告書執筆への参加などを通して、IPBESの活動に幅広く貢献しています。


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