SDGsの各目標の相関性がわかるデータ分析&可視化ツールの最新版「SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool(V3.0)」(無料)を公開しました。
IGES戦略的定量分析センターは、2015年にSDGsに関する統合的な政策立案を支援するためにこのツールを開発し、その後も継続的に更新を行ってきました。この最新版では、分析対象国の拡大、分析手法の改善、最新データへの更新、インターフェースの強化などのアップデートを行っています。
このツールでは、SDGs各目標間の定量的な相互作用をビジュアル化し、潜在的なシナジーとトレードオフを特定することができ、各国の進捗と実績を時系列で比較することも可能です。
SDGsとそれに関連するターゲットは、相互に作用し補完し合う多様な要素を含んでおり、複雑なネットワークを形成しています。したがってSDGsを効果的に実施するためには、部門横断的な統合と組織的な協働によるシナジーを追求・拡大し、トレードオフを最小化するシステムアプローチが必要です。しかし、各目標の範囲がとても広く、SDGsが2015年に採択されてからの期間が比較的短いことから、現状ではSDGs各目標間の関連性に関する知見は限られています。そのためIGESでは、持続可能な開発のための2030アジェンダの共同実施と一貫した政策の促進を目指して、SDGs各目標間のシナジーおよびトレードオフの分析に注力してきました。
「SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool(V3.0)」では、IGESがこれまで培ってきた知見に基づいて、新たにアジア・アフリカ地域の国々を加え、これまでの9ヵ国から全27カ国へと分析対象国を拡大しました。これらの国々は様々なレベルの社会経済的および環境的課題に直面しており、また世界経済においてもますます重要な役割を果たすようになってきています。このツールの分析結果は、すでにいくつかの国でSDGsの計画策定や各目標の優先順位の決定のための情報として使用されていますが、必要なデータを入手できれば、他の国にも同様の分析を転用し、展開することができます。
「SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool」とその分析結果は、以下のような分野で、国や地方レベルでの政策の統合や一貫性を支援するための実用的なツールとして活用していただけます。
- ・SDGsの計画策定: シナジーとトレードオフを分析し、相互作用の観点から特定される戦略目標に基づき、政策の優先順位の設定を支援します。
- ・制度設計: 既存の国内制度の見直しを支援します。システムアプローチとSDGsの相互作用に基づいた効果的な制度設計のための提言を行います。
- ・資金配分: 大きなシナジーを有する分野に協働で取り組み、重複を回避するための、効率的な予算配分をサポートします。また、トレードオフに効果的に対処するための予算配分について政策提言を提供します。効率的な予算配分は、多くの財政的制約に直面している途上国にとっては特に重要です。
- ・モニタリングとレポート: 国や地域がSDGsを推進するうえで中心となる有効な指標の作成を、各国や地域のデータに基づき支援します。
「SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool(V 3.0)」のウェブサイトから、分析手法や参考資料、関連出版物などの情報がご覧いただけます。
詳細はこちらから。SDG Interlinkages Analysis & Visualisation Tool (Version 3.0)(英語のみ)