IGESは、日本国環境省の協力のもと、本日よりIPBES「侵略的外来種に関するテーマ別評価」に関する技術支援機関をIGES東京サステイナビリティフォーラム(東京都港区)内に設置することをお知らせいたします。
IPBESは、生物多様性と生態系サービスに関する知見を収集・体系化することを通じて、中立的な立場から科学的知見に基づく政策の実現を支援する政府間組織で、「生物多様性版のIPCC」とも呼ばれています。IGESは2015年から「生物多様性・生態系サービスに関するアジア・オセアニア地域評価」の技術支援機関として評価報告書作成を支援し、2018年3月の採択に貢献しました。今回はそれに続く技術支援機関の設置となります。
侵略的外来種は、生物多様性に悪影響を与える主因の一つであり、グローバル化が進む現代社会において、その拡大防止や管理はさらに重要性を増しています。本評価では、侵略的外来種の現状や将来予測、生物多様性や社会経済に与える脅威、防除のための政策・対策などについて、全世界で70名程度の専門家が科学的評価を行い、2022年に報告書を取りまとめる予定です。
本評価の成果は、自治体からEUなどの地域間レベルまで、世界のさまざまな生物多様性関連政策への活用が期待されるとともに、生物多様性条約で採択される2020年以降の世界目標や持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献するものです。
今回の技術支援機関設置について、IPBES事務局長アン・ラリゴーデリ氏は以下のコメントを寄せています。
「私たち一人ひとりの暮らしは、遺伝子・種・生態系それぞれにおける生物多様性に直接的に支えられています。侵略的外来種はこうした自然の生命維持装置に対する最も深刻な脅威のひとつです。世界各国のさまざまなレベルの政策決定者が、具体的な対策をとるべく、より効果的な科学的根拠と政策上の選択肢を必要としています。IPBESに加盟する132カ国はこれらの要望を踏まえて、侵略的外来種に関する科学的評価を地球規模で新たに実施するようIPBESに要請しました。今後3年間にわたり、日本国環境省のご協力のもと、IGESの優秀なスタッフがこの重要な報告書を技術的に支援してくださることを私どもIPBES事務局は喜ばしく感じており、感謝を申し上げます」
IGESは技術支援機関として生物多様性分野の科学と政策のインターフェース強化に尽力するとともに、有益な知見の提供を通じて生物多様性ならびに生態系サービスの維持向上に貢献してまいります。
IPBESについて
生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもある。IPBESの成果物は世界中の科学者・専門家らによって執筆され、加盟国政府により構成される総会による承認後、公表される。2019年2月現在、132カ国が加盟、事務局はドイツのボン。URL: https://www.ipbes.net/