昨年エジプトで開催された第27回気候変動枠条約締結国会議(COP27)に続き、今年のCOP28はアラブ首長国連邦(UAE)で開催されることから、多くの産油国が集まる中東や北アフリカ地域の気候変動対策の進展やグリーン成長戦略の取り組みに関する情報が注目されています。
COP28議長であるスルタン・ジャベル氏は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)の最高経営責任者も兼任しており、欧米や環境団体からは利益相反が生じる可能性に強い懸念が示されています。一方で、UAEはこれまでにないほど多くの利害関係者が交渉のテーブルにつく機会であると認識し、建設的な議論を進めるリーダーシップを発揮する意欲を示すとともに、今年7月に発表したエネルギー戦略の改訂版では、2030年までに再生可能エネルギーの容量を3倍にするという高い目標など、クリーンエネルギーへの投資を強化する方針を掲げています。
このような背景の下、日本のカーボンニュートラルの実現に向けたクリーンエネルギーの確保のため、また日本の優れた再エネ、省エネ、水処理、淡水化、廃棄物管理などの環境技術・システムを展開し、グリーン成長を確実に推し進める支援をするためにも、日本から見た中東や北アフリカ地域(Middle East & North Africa: MENA)の重要性は増しています。
現在、IGESではイスラム開発銀行などと協力して、「MENA間でのグリーンビジネス・マッチング・プラットフォーム」(以下プラットフォームと略称)の立ち上げについて検討しています。このプラットフォームは、日本およびMENA諸国の企業関係者に対してオンラインでグリーンビジネスに関する情報(技術、支援プログラム、支援機関など)を提供し、その後、具体的なビジネス展開にむけて関係者をつなぎ実現化する役割を担うものです。
このプラットフォームの強みは、MENA地域の開発に携わっているイスラム開発銀行(国際地域金融開発機関:本部サウジアラビア)、ガルフリサーチセンター(中東経済社会研究機関:本部サウジアラビア)、再生可能エネルギー・エネルギー効率化地域センター(中東政府間機関:本部エジプト)とIGESが協働してプラットフォームを運営し、各機関を通じて、MENA各国の関連省庁や政府系金融機関などと連携を図り、プラットフォームがワンストップでビジネスマッチングにむけてコーディネーションを行うことです。IGESはこれら政府関係機関や民間事業者と、昨年日本で開催されたアフリカ開発会議(TICAD8)やエジプトでのCOP27においてサイドイベントを開催し、プラットフォームの必要性や機能などについて議論するなど、信頼関係を構築してきました。
本プラットフォームはまだ検討段階ですが、事前に日本企業とその関係者にも情報を共有し、プラットフォームが立ち上がった場合にできるだけ円滑な運営に移行したいと考えています。このたび、皆さまにこのプラットフォームの事業計画をご紹介するとともに、本プラットフォームの活用への関心など、アンケートへのご協力をお願いする次第です。ご多用中のところ恐れ入りますが、なにとぞご協力のほど、お願い申し上げます。
プラットフォームの計画概要
(1)目的
本プラットフォームは、MENAの企業、金融機関、政府・非政府機関、学術機関など様々なステークホルダーの知識、ノウハウ、リソース(支援プログラムなど)を積極的に活用し、MENAの「ニーズ」と日本からの「シーズ(種)」をマッチングさせ、脱炭素経済に向けたグリーンビジネスマッチングを促進するウィン・ウィン・パートナーシップの構築を目指す。
当初の2‐3年間は、対象国をエジプト、サウジアラビア、UAE、チュニジアに絞り、対象セクターは、これら対象国で優先度が高い工業、建築、運輸、農業におけるエネルギー効率化と再生可能エネルギー(廃棄物発電を含む)とする。その成果を見極めたうえで対象国や対象セクターを拡大する予定。
(2)機能
本プラットフォームは、①オンラインによる情報・知識の共有、および、②現場での実践的なグリーンビジネスマッチングを行う。①のオンラインによる情報・知識の共有では、関連技術情報と優良事例、政府や関連機関による支援プログラム、広報・普及イベント、二国間・多国間対話や協力フォーラムなどをオンラインを通じて情報提供する。②の現場での実践的なグリーンビジネスマッチングを促進するため、対象国において市場調査、分析、評価、アドバイザリー/コンサルティング活動、フィージビリティスタディ実施/事業プロポーザル作成/パイロットプロジェクト実施などの支援、人材育成支援(研修、インターンシップ、集中講義など)のサービスを提供できるステークホルダーとビジネス関係者をつなぐ。
(3)運営体制
本プラットフォームは、事務局により運営される。事務局は、イスラム開発銀行(IsDB)、ガルフリサーチセンター(GRC)、再生可能エネルギー・エネルギー効率化地域センター(RCREEE)とIGESが協働して行う予定。
国別のオペレーションを強化する観点からカントリー・ワーキング・グループ(CWG)を設置し、これと事務局が連携して活動を行う。CWG には、対象国の優先セクターや支援プログラムに直接的・間接的に関わる企業団体、金融機関、政府機関、その他機関(NGO、NPO、アカデミアなど)の代表が参加する。
以下が現在検討中の運営体制である。
(4)ビジネスマッチングに向けた手続き
民間企業の観点から、ビジネスマッチングに関する検討の熟度に応じて、以下のような手続きに分類している。
【タイプ1】オンライン情報を検索
オンライン上の情報を閲覧したい企業は、プラットフォームのウェブサイトに登録する必要はなく、プラットフォームにアクセスし、対象国、対象セクターにおける技術、支援プログラム、支援機関などについて検索エンジンを使って閲覧する。
【タイプ2】特定の企業・ステークホルダーとの接触を含む追加情報の問い合わせ
対象国における技術や支援プログラムなどの追加情報、関連業界機関などとのコンタクト、潜在的なビジネスパートナー情報などに関する問い合わせを希望する企業は、プラットフォームのウェブサイトに登録し、「問い合わせフォーマット」に必要事項を記入して事務局に送信。事務局は、できるだけ早いタイミングで回答。尚、より詳細な市場調査、評価、分析が必要な場合は、その費用を賄うために料金が発生するが、照会があった企業と協議のうえ料金を決定する。
【タイプ3】プロジェクトアイデアに関するサポート依頼
具体的なプロジェクトアイデアを有しその具体化を図るため、事務局に相談したい企業は、プラットフォームのウェブサイトに登録し、「問い合わせフォーマット」に必要事項を記入し事務局に送付する。事務局はできるだけ早いタイミングで回答。事務局は、企業によるプロジェクトアイデアが適切であり、有望であると判断した場合、同企業をCWGメンバーとの会議に招待し、その後の進め方について議論し、CWGメンバーからアドバイスをもらう。
【タイプ4】事務局によるプロジェクト提案
事務局は、必要に応じて、ビジネスマッチングにつながるプロジェクトの提案を行う場合がある。その提案は、CWG で議論され有望と判断されたものは、民間企業を含め関連するステークホルダーの参加を得て実施する。
現状と今後の予定
上記1.の計画概要について、イスラム開発銀行(IsDB)、ガルフリサーチセンター(GRC)、再生可能エネルギー・エネルギー効率化地域センター(RCREEE)とIGESとの間で詳細を検討しています。特に、MENA対象国の技術ニーズ、政府や関連機関による支援プログラム、日本の有する技術などに関する情報を集約し検索できる、オンラインプラットフォームのデモンストレーション版を作成中です。
気候変動枠組み条約のもとで今年10月中旬に開催されるMENA気候変動ウィークのサイドイベントにおいて、このプラットフォームについて情報共有・意見交換するサイドイベント開催の準備をしています。その後、年末にUAEで開催されるCOP28において、上記オンラインプラットフォームのデモンストレーション版を紹介するサイドイベントの開催も予定しています。
アンケートへのご協力依頼
本プラットフォームが今後活動を開始した場合に、御社としてのプラットフォームの活用などについての関心を伺いたく、下記オンラインのアンケートへのご協力をお願いします。
「日本と中東・北アフリカ諸国間でのグリーンビジネス・マッチング・プラットフォーム」に関するアンケート
プラットフォームに関する照会先
以下のIGES職員に電子メールにて、ご質問やご関心の内容等についてご連絡をお願いします。
IGES ファイナンスタスクフォース プログラムディレクター 森 尚樹:[email protected]
IGES シニアコミュニケーションオフィサー 勝池 優里:[email protected]