「令和2年度脱炭素都市の実現に向けたプラットフォームの形成・運営・管理等委託業務」報告書

Commissioned Report
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平成2811月にパリ協定が発効され、令和2年(2020 年)を迎えた今年、いよいよパリ協定の実施段階に入った。パリ協定でも、中央政府に加えて自治体・都市を含む非政府主体による気候変動を加速させることが掲げられているが、具体的な地域の気候変動対策やプロジェクトを検討・実施するうえで、都市や自治体はキープレーヤーである。世界全体での脱炭素社会の実現に向けては、特に経済成長が著しいアジアにおいて、持続可能な脱炭素社会、またそれの通過点としての低炭素社会の構築への動きを加速させることが必要であり、社会経済の発展を支える活動の場である都市の脱炭素化・低炭素化に向けて、国際的にも都市の取組を支援する動きが強化されてきている。また、postコロナを見据え、環境政策とのトレードオフの最小化、及び環境政策とのシナジーを最大化するための基盤作りにあたっても、地方自治体・都市レベルでの政策決定は非常に重要な位置づけになりつつある。

我が国政府は、開発途上国における脱炭素・低炭素社会構築への取組を支援すべく、温室効果ガス(GHG)排出量削減を促進する二国間クレジット制度(JCM: Joint Crediting Mechanism)を推進しており、既に17か国(令和2年5月現在)とJCMの署名を行っている。また、環境省は、平成25年度から、低炭素社会形成に関する経験やノウハウを有する日本の自治体と海外都市の連携を活用し、日本の民間企業や研究機関などが、日本の自治体とともに途上国の低炭素社会の構築に向けた取組を支援する「低炭素社会実現のための都市間連携事業」(以下、都市間連携事業)を実施してきており、令和2年度からは「脱炭素社会実現のための都市間連携事業」(以下、「都市間連携事業」という。)として、20案件を採択している。世界全体での脱炭素社会の実現に向けては、これらの取組を基礎にし、脱炭素都市のイニシアティブを日本から発信していくことが極めて重要である。

上記、都市間連携事業に合わせ、環境省では、平成25年度から、低炭素社会構築に向けての企業・研究・自治体によるプラットフォーム整備を通じ、アジアにおける低炭素社会実現のための調査及び基盤構築を実施してきたが、当該事業についても、令和2年度からは脱炭素都市をキーワードに、より野心的な目標に向けた取組を支援することとなった。

今年度は、国内においてすでに「2050 年に温室効果ガスの排出量又は二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表された地方自治体」(以下、「ゼロカーボンシティ」)を宣言している都市の好事例の国際発信、及び海外都市で脱炭素・低炭素化を目指す都市への事例共有、また、post コロナ・withコロナにおける社会変容を捉まえたうえでの環境インフラ導入などの議論を行うための国際フォーラム、また、都市における脱炭素化を促進するためのセミナー、研修を開催した。これらに加え、海外都市の脱炭素・低炭素社会構築に向けた取組に関わる実態調査、都市間連携事業パンフレットなどの作成、ウェブサイトを通じた情報発信を行うなど、postコロナ・with コロナにおける脱炭素都市のあり方について検討を行い、脱炭素・低炭素化事業の案件形成や制度構築支援の強化・推進に努めた。

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