持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビューに関する意見

Submission to Policy Process
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SDGsの達成に向けた取り組みを着実なものとするためには、SDGsの実施をモニタリングし、レビュー(評価)し、その結果に基づいて取り組みの改善を図るプロセスが非常に重要であるため、SDGsを承認した国連加盟国は、自発的国家レビュー(Voluntary National Review:VNR)という形で進捗を報告することが求められています。

VNRは毎年7月に開催されている「国連持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)」で発表が行われており、日本政府は2017年7月に最初のVNRを公表しました。そして2025年のHLPFへの提出に向け、3回目のVNRが実施され、外務省主導でパブリックコメントが募集されました。

地球環境戦略研究機関(IGES)は、SDGsの策定、実施、フォローアップ・レビューの国際プロセスに積極的に貢献するとともに、国内外の様々なステークホルダーとの協働を通じて、SDGsの効果的な実施に向けた調査・研究と、実社会におけるSDGs推進のための活動を行ってきました。

特に、環境省・独立行政法人 環境再生保全機構の環境研究総合推進費(JPMEERF20221M03)の研究成果も活用しつつ、その他各研究員の研究活動を通じて得た知見を基に、「持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)」に対して、パブリックコメントを提出しました。以下はその主な内容です。

  • VNR報告書の質と透明性の向上: 作成プロセスの詳細な記述、SDGs推進体制の明確化、環境・経済・社会課題の相互関連性の強調、国際貢献の明記などを通じて質を高め、国内外への情報発信力を強化するべきである。
  • フォローアップ・レビュー(FUR)の質向上と多角的な実施: 定期的なレビュー、データ分析、他国との連携を通じて、進捗評価と改善を促進するべきである。
  • 目標達成状況の可視化とデータ活用: 目標別進捗状況の詳細な開示と適切な国内指標の設定・データの更新により、「目標ベースのガバナンス」を推進すべきである。
  • ステークホルダー参画の促進: 一方的な情報提供や形式的な意見聴取から脱却し、主体的な社会変革と政策決定への影響力を促す仕組みが必要である。参加に必要な能力開発支援と透明性の確保が肝要である。また、ステークホルダー会議の改善、デジタル技術活用などを通じた、多様な意見を反映の新たな参加メカニズムについても検討されたい。
  • 包摂社会の実現に向けた取り組みの深化: 外国人、先住民族、若者、女性など、多様なステークホルダーへの配慮を強化するべきである。
  • 官民連携と自治体支援の強化: ステークホルダー間の対話促進、自発的自治体レビュー(VLR)の取り組み支援などを通じて、SDGs達成に向けた地方や官民の連携を促進するのが望ましい。
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