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2024年8月29日~9月1日に行われた日本環境教育学会の第35回年次大会(千葉)において、口頭発表を行った。以下はその発表要旨である。
2030年をゴールとする「持続可能な開発目標(SDGs)」は、達成に向けた軌道からは依然として大きく外れており、SDGsの進捗を一層加速させる必要がある。SDGsの実施にあたっては、「誰一人取り残さない(LNOB)」の原則に基づき、マルチステークホルダーの参画が求められている。その中でも、次世代を担うユース(若者)に注目が集まり、近年、国内外でサステナビリティに関連するプロセスへの彼らの積極的な参画が呼びかけられている。特に、世界的に見て気候・環境課題へのユースの関心への高まりから、彼らが意見表明をする場や、様々な参加の手段が構築されてきている。他方で、ユースの意見を聞くだけで、実際の意思決定には実質的な影響力を伴わない、表面的な参加に留まる「ユースウォッシュ(Youth Washing)」も指摘される。加えて、ユースの中にも、既に課題意識に基づき行動を起こせている者から、日々の生活すら困難な状況に置かれた者と多様性がある中で、特定のユースが代表として適切なのか、そもそも、代表を選出する仕組みそのものが適切なのかについても議論する必要がある。
本研究では、SDGs推進を主導する国家レベルのユースのSDGs実施への参画機会について比較検討を行った。日本、フィンランド、デンマーク、ドイツ、インドネシアという、地理や文化、制度の面でも多様な5か国を対象に、分析枠組(Fukuda and Zusman, forthcoming)を用い、各国のサステナビリティ分野におけるユースの参画機会について分析を試みた。
SDGsの達成に向けた努力の加速化と、間もなく始まるポスト2030アジェンダの議論に向け、これまでに積み重ねられてきた成果と課題を明らかにするとともに、さらに包摂的で意義あるユース参画の機会の構築と実現に向け、考察した。
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