コロナ禍を克服するSDGsとビジネス~日本における企業・団体の取組み現場から~

Policy Report

一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)および公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」について、日本企業の取り組み実態に関する最新の調査結果をとりまとめた、SDGs日本企業調査レポート2020年度版「コロナ禍を克服するSDGsとビジネス」を3月25日(木)に発刊しました。

5年目となる今回のレポートでは、GCNJ会員を対象としたアンケートで回答を得られた208企業・団体の調査結果と企業・団体トップへのヒアリング結果をもとに、GCNJ会員のSDGsに関する認知度や取り組み状況について5年間の進展度合いを分析するとともに、サステナビリティの観点から、コロナ禍でクローズアップされたビジネスや働き方の変化、企業・団体の社会課題に向きあう基本スタンスや期待される今後の取り組みについて考察をしています。また、付録にはこれらの企業・団体トップのインタビュー記事を掲載しており、危機の時代におけるSDGsの取り組みとサステナビリティ経営の参考にしていただける内容となっています。

【レポートのハイライト】

  • コロナ対応に関する基本方針については、ほとんどの企業・団体が従業員や家族等の安全確保(91.8%)、二次感染防止(88.9%)、事業活動の早期復旧と継続(79.8%)といった要素を含んでいた。中長期の計画に変化が生じたか、またはその検討を行っているかを聞いた設問では、特に経営戦略(41.8%)と実行計画(48.6%)のレベルで変化が起きており、それに続いて、事業ポートフォリオの見直しも行われていた(18.3%)。
  • ウィズコロナ、ポストコロナを見据えて強化に努めていることとしては、92.3%が働き方改革を推進し、それを定着させるべく、人事評価・仕組みの見直し(67.8%)や情報漏洩・個人情報・セキュリティ対策の強化(56.7%)も行われていた。
  • SDGsを企業戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供する「SDG Compass」は、国連グローバル・コンパクトなどが発行してから5年以上が経過しているが、今でも最も参考にされていた。そこに記載される5つのステップで進捗状況をみると、2016年の調査ではステップ1「SDGsを理解する」が半数以上を占めており、ステップ3以降の企業は25%ほどであった。2020年になると「ステップ4:経営へ統合する」が27.4%と最も多くを占め、ステップ3以降で68.3%を占めるまで進展した。
  • SDGsの認知度について、2016年には経営陣の認知度は3割に満たず、大きな課題となっていた。しかし翌年以降は着実に向上し、2020年には85.1%とCSR担当(84.1%)を凌ぐほどとなった。組織内にSDGsを理解しない経営陣がいる場合は、認識の遅れを指摘する必要がある段階にきている。
  • 重点を置く目標については、目標13(気候変動に具体的な対策を)が76%と最も多く、次いで目標8(働きがいも経済成長も)と目標12(つくる責任、つかう責任)が75%と続いた。データを取り始めた2017年との比較では、全ての目標が伸びており、その中でも目標9(産業と技術革新の基礎をつくろう)、目標11(住み続けられるまちづくりを)、目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)が30%程の伸びを示した。一方で、目標1(貧困をなくそう)と目標2(飢餓をゼロに)については、2017年から2020年にかけて15~25%の間で上下しており、優先順位が低いままとなった。
  • 過去1年間に公開・開示した情報のうち、どのような形でSDGsについて掲載しているかを聞いたところ、本設問を設けた2017年比では、「トップメッセージ」、「重要課題・方針への反映」、「事業との紐付け」が30%以上増大した。その一方で「特に掲載はない」は28.2%から5%以下まで減少しており、今や情報開示においてSDGsへの言及は当たり前となった。
  • 国連グローバル・コンパクト全体との比較では、経営との統合、優先度の高いSDGs目標について大きな違いはなかった。ただし「だから安心してこのまま取り組めばよい」ということではなく、「行動の10年」においては、SDGsの野心を引き上げ、より大きなインパクトを生み出すことが必要である。そのためには、システムレベルでの変革が必要であり、SDGs行動を促進する事業環境、明確な測定基準、産業レベルおよびセクター内・セクター横断的な全てのレベルでの協働が鍵となる。
 
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