新型コロナウイルス感染症が環境と持続可能性に及ぼす影響について(バージョン2):トリプルR(Response, Recovery, Redesign)の提案

Submission to Policy Process
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新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、地域における健康上の危機から、世界においてすべてを覆い尽くす世界的大流行(パンデミック)・経済災害へと大きく変化した。COVID-19の感染は急速に広がり、世界のほぼすべての地域の人々の日常生活が大きな影響を受けている。実際、2020年10月には、世界で5,000万人以上が公式にウイルス陽性と診断され、その結果150万人以上が死亡し、北半球が冬を迎え、屋内での時間が増えるにつれ、これらの数字は急速に増大しつある。このような事態は、地方から国、国際に至るあらゆるレベルの公的主体が、現状への対策および将来への復興プログラムに関して、分野と国境を越えて密接に調整し協力する必要性を明確にしている。

IGESでは、上記のような認識に基づき、本年5月に「新型コロナウイルス感染症が環境と持続可能性に及ぼす影響について」と題するポジションペーパー(IGES, 2020)を公表し、それに基づき、国や国際機関、さらには幾つかのパートナー機関と協働して、現状の分析をし、プラットフォームを立ち上げ、さらに必要なガイドラインを作成してきた。

このポジションペーパー(バージョン2)では、5月から11月までの進展を踏まえ、環境や持続性の問題をどのようにCOVID-19に関する意思決定に反映させるべきか再度検討するものである。このペーパーでは、このパンデミックに特に関連の深いものにフォーカスを当てて分析した。まず、医療廃棄物の問題や野生動物と人間との関係、大気汚染による影響など、このような感染症に対するレジリエンスの強化に関連する問題について、分析した。さらには、脱炭素化に向けた戦略に関係しているがこれまであまり注目されて来なかった、ライフスタイルやワークスタイルなどにも焦点を当てた。

最初のポジションペーパーでは、このパンデミックとそれがもたらす広範な影響に対して、短期的・中期的および長期的な観点から分析し、行動することが重要との視点を示した。本ペーパーでは、さらにそれを発展させ、Response・Recovery・Redesign(レスポンス・リカバリー・リデザイン)のいわゆる「トリプルR」フレームワークを設定し(Zusman E. et al. 2020)、その観点から整合的かつ戦略的な施策を展開するのが重要であることを論じる。
 

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