
イベントサマリー
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)は、2025年 12月5日(金)に「COP30速報ウェビナー」をオンラインで開催しました。本ウェビナーでは、11月10日から21日にブラジル・ベレンで開催された国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(UNFCCC COP30)に参加したIGES研究員らが、主要議題に関する交渉の結果や論点、今後の国内外の政策・実施に与える影響等を2時間半にわたり解説しました。
発表では、これまでの交渉の経緯や会議場の雰囲気なども紹介され、Q&Aセッションでは多くの質問が寄せられました。
COP30総括と排出削減・吸収源拡大の議論の経緯
田村 堅太郎(気候変動ユニット リサーチディレクター)は、COP30の結果の全体を振り返り、厳しい国際政治状況の中ではあったが、包括的な「グローバル・ムチラオ決定」と個別議題の決定からなる「ベレン政治パッケージ」が採択され、化石燃料脱却や工程表への直接的な言及を回避しつつ、COP枠外のイニシアチブ等を組み合わせて気候行動の実施を促進する努力がみられた点を評価し、「1.5℃目標実現のために今後許されるCO2排出量はわずかであり、早期かつ大幅な排出削減は依然として必要で、COPがすべてを解決してくれるわけではないが、COPがなければ解決できない」と結びました。
パリ協定6条・炭素市場と今後への展望
小圷 一久(パリ協定6条実施パートナーシップセンター長)は、パリ協定6条は本格的にルール交渉から実施フェーズに入り、NDC3.0に向けた炭素市場の本格的な活用が始まっていることを解説しました。一方で、京都議定書の下でのメカニズムであるクリーン開発メカニズム及び国際取引ログシステムについて運営終了期限が決定されたことについても説明がありました。6条に関する交渉会合で参加者が寄り集まって議論をする「ハドル」の様子なども紹介されました。
第1回グローバル・ストックテイク(GST)のフォローアップをめぐる交渉結果と第2回GSTに向けた課題
高橋 真沙子(気候変動ユニット リサーチマネージャー)は、グローバル・ストックテイク(GST)について、第1回GSTの成果のフォローアップ体制及び第2回GSTに向けたプロセスの改善に関し、2年間の交渉結果が決定文書として採択されたことを説明しました。第2回GSTの実施については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第7次評価報告書( AR7)の内容が、最良の科学的知見として適切に同プロセスに取り込まれることの重要性が再確認されたものの、特定の緩和政策が誘導されることを懸念する国も見られたことを解説しました。
COP30適応交渉の結果 適応に関する世界全体の目標(GGA)と指標を中心に
松尾 茜(気候変動ユニット リサーチマネージャー)と木村 直子(気候変動ユニット 研究員)は気候変動適応について、適応に関する世界全体の目標(GGA)の達成進捗度を測定するための「ベレン適応指標」(59個の指標リスト)が採択されたことを説明しました(ただし、各国から指標選定プロセスの透明性などへの異議が出されており、今後も議論が継続される予定)。その上で、「迅速かつ質の高い適応策の実行が求められる中、適応資金の「量」の議論のみならず、目標や指標を通じて適応策の「質」や「効果」をどのように高めていくのかについて、より踏み込んだ議論が必要」とコメントしました。
気候資金 COP30での成果
大田 純子(北九州アーバンセンター リサーチマネージャー)は、COP30でローンチされた「1.3兆ドル・ロードマップ」(途上国向けの気候資金を2035年までに年間1.3兆米ドルに拡大することを全アクターに呼びかける新目標)、ムチラオ決定(適応資金を2035年までに3倍増)、ブラジル政府のイニシアチブにより新設された「トロピカル・フォーレスト・フォエバー基金」等について解説しました。「民間や革新的資金を含むオールアクターを巻き込む資金動員の流れが強まる一方、伝統的な公的資金を求めるリバウンドも見られた。また、交渉外では、ブラジルやインドネシア等の新興国がリードした基金のルール作りや資金公約(プレッジ)がされる時代になってきた」と述べました。
ウェビナーでは、石川 智子(戦略マネージメントオフィス パートナーシップ・発展支援ディレクター)によるCOP30の各国のパビリオンの様子や開催地の町の様子などの紹介もありました。最後に、水野 理(気候変動ユニット プログラムディレクター)がウェビナー参加者からの質問に感謝して閉会しました。
(当日の資料・録画等はお申込みいただいた方のみ提供)
Event Details
Presentation Materials
プログラム
COP30速報ウェビナー 司会進行: 水野 理 気候変動ユニット プログラムディレクター | |||
|---|---|---|---|
| 第一部 | 15:00 | ||
| 開会挨拶 | 水野 理 気候変動ユニット プログラムディレクター | ||
| COP30総括と排出削減・吸収源拡大の議論の経緯 | 田村 堅太郎 気候変動ユニット リサーチディレクター | ||
| パリ協定6条・炭素市場と今後への展望 | 小圷 一久 パリ協定6条実施パートナーシップセンター長 | ||
| 第1回グローバル・ストックテイク(GST)のフォローアップをめぐる交渉結果と第2回GSTに向けた課題 | 高橋 真沙子 気候変動ユニット リサーチマネージャー | ||
| 質疑応答 | |||
| COP30現場の様子ご紹介 / 休憩 | 石川 智子 戦略マネージメントオフィス パートナーシップ・発展支援ディレクター | ||
| 第二部 | 16:20(予定) | ||
| COP30適応交渉の結果 適応に関する世界全体の目標(GGA)と指標を中心に | 松尾 茜 気候変動ユニット リサーチマネージャー 木村 直子 気候変動ユニット 研究員 | ||
| 気候資金 COP30での成果 | 大田 純子 北九州アーバンセンター リサーチマネージャー | ||
| 質疑応答 | |||
| まとめ・閉会 | 水野 理、他 | ||
| 17:30終了 | |||
(当日の資料・録画等はお申込みいただいた方のみ提供)