COVID -19 後の中国気候変動政策の見通し:中国第十三期全人民代表大会の結果を踏まえ

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中国にとっての2019年と2020年の前半は、世界経済の鈍化、米中貿易摩擦の長期化、コロナ問題の勃発など、山積の課題に対処しなければならない時期であった。米中貿易摩擦の影響もあり、中国の2019年のGDPは前年比6.1%の成長に止まった。

2020年1月-3月におけるGDP成長率は、昨年同時期に比べ6.8%下落するなかで開催した中国第十三期全国人民代表大会第3次会議では、内需拡大、雇用安定にフォーカスした政策パッケージを成立させた。 

コロナ対策に関連する予算措置規模は、9.2兆元(約147.2兆円)と推計され、「新エネ自動車の普及とEV充電スタンドの拡充」や次世代通信設備や5G技術などへの重点的な投資方針も決まった。

 2020年以降における中国経済のGDP成長率が不透明であるため、第13次5ヵ年気候変動目標の達成の見通しに変数が生じた。とはいえ、非化石エネルギー目標は一年前倒しで達成しており、2020年における省エネ目標やCO2原単位削減目標の達成も、比較的にハードルが低い。

一方、グリーン産業に対する地方政府の投資拡大が見込まれ、取り分け、EVの導入拡大や製造業の高効率化、都市管理のスマート化に資する5G技術の導入拡大の可能性が広がり、低炭素社会に向けた中国の動きが加速しているようにも見える。

また、今回の全人大会議期間において、全人大代表らにより再生可能エネルギーの導入拡大や炭素税の早期導入、第14次5ヵ年計画期間での絶対量CO2削減目標の導入、といった提案もあった。

中国におけるCO2削減ポテンシャルは十分活かしきれていない。上記のような大表提案が第14次5ヵ年計画づくりのプロセスにどこまで反映されるかについては、引き続き注目して必要がある。


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