企業の気候変動緩和戦略における、自然に基づく解決策(NBS)のオフセットとしての活用に関する検討

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 本稿は、WRIのワーキングペーパ― "Consideration of Nature-based Solutions as Offsets in Corporate Climate Change Mitigation Strategies (Seymour and Langer 2021)"の日本語訳である。

主要メッセージ

  • 多くの企業が、自らが関与する化石燃料由来の温室効果ガス(GHG)の排出量の一部をオフセット(相殺)するために、気候変動対策としてネイチャー・ベースド・ソリューション(自然に基づく解決策:NBS)を取り入れ始めている。
  • 社会全体のGHG排出量を実質ゼロ、いわゆるネット・ゼロ・エミッションの状態に移行するには、NBSへの資金供給が不可欠かつ緊急に必要である。
  • 本稿では、NBSをオフセットとして活用する機会とリスクについて説明する。特に、需要側が購入する際の環境・社会十全性と供給側の創出する排出削減・除去に着目する。
  • NBSをオフセットとして活用することに対する信頼性を高めるために、企業が今すぐできる行動がある。自社の化石燃料由来の排出削減に向けた野心的な戦略の実施と、質の高いNBSクレジットを必要としているシグナルを発信することである。
  • NBSのオフセットとしての活用に関するルールは、複数の政策分野や自主的イニシアティブの中で議論されてきているが、企業は、自主的およびコンプライアンス市場での取引を管理する堅固な基準や規範を提唱することができる。
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