営農型太陽光発電の経済性と自治体による促進の意義

Discussion Paper
solarsharing_dp
  • 農地において支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、下部空間では営農を継続しながら発電を行う営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、再生可能エネルギー導入量の拡大が見込めること、農業者の収入拡大による農業経営の改善や6次産業化の推進も期待できることから、政府として推進する方針が掲げられ、様々な制度で導入促進が図られている。
  • 例えば、再生可能エネルギーの導入促進のために固定価格買取制度が導入されているが、営農型太陽光発電と野立太陽光発電で買取価格が区別されていない。しかしながら、両者は費用構造や事業リスクが異なり、導入によってもたらされる便益も異なることから、その性質に則して営農型太陽光発電の推進のための施策が導入されることが望ましい。
  • 営農型太陽光発電と野立太陽光発電の費用構造を比較した結果、土地利用のための調整コスト、土地造成コスト、設備(架台)のコスト、維持管理コストのそれぞれの項目について、営農型太陽光発電が地域にメリットをもたらすためには、追加コストが必要になることが明らかになった。また、既存の制度には、営農型太陽光発電に対して地域が取り組むことの意義が反映されているとは言い難い。
  • 営農型太陽光発電を地域にとって多面的なメリットをもたらす取り組みとするためには、自治体が積極的に関与することが重要である。具体的には、関係者の調整や土地造成に係るコストを低減させ、規模の経済性が働きうる用地を確保し、電力の長期買取等によって事業リスクを低減させることができれば、地域と共生し地域を豊かにする電源として営農型太陽光発電の取り組みが進んでいくものと考えられる。
Author:
Ryuichi
Ogawa
Date: