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1997年、国と北九州市の政策のもと北九州エコタウン事業がスタートし、翌年に北九州市内の環境産業を取りまとめた「北九州環境ビジネス推進会(KICS)」が発足した。それ以降、響灘の埋立地の活用、公害都市からの脱却と新たな雇用の創出が結び付いて、「環境産業」が北九州エコタウンに集結してきた。さらに、さまざまなリサイクル法が成立する度にその受け皿を整備してきた。そして、ついには世界的なリサイクル産業団地の集約を作り出した。
しかしながら、北九州エコタウンにおける「環境産業」の中心は静脈産業であり、循環産業を考える上において、あくまでも静脈は後始末的であり、「使い捨て経済」「リサイクル経済」の延命に過ぎない。持続的な循環経済への転換は、動脈産業の関与なしに達成することはできず、静脈の動脈化、動脈の静脈機能の内部化、動脈と静脈の連携・協調・一本化が、オールインワンでの解決の困難な循環経済の構築を助ける。
北九州エコタウンがスタートして以来20数年が経過し、北九州の環境産業資産とポテンシャルは超一流のものを有すると自負はするものの、今、持続可能な循環経済への転換を果たすためには、オールインワン的エコタウン産業のオーバーホールのきっかけになればと、2019年8月に北九州循環経済研究会を発足させた。
研究会では「明日の北九州の環境産業ビジョン」を描くことを目標にして、北九州エコタウンの資産、ポテンシャル、特性、課題について研究、議論を重ね、「社会循環」「自然循環」「エネルギーの地産地消」「市民資本」をバタフライダイヤグラムで表現することとした。また、2030年、2050年をゴールと見据えながら、バックキャスティングの手法で目標を達成すべく、リーディングプロジェクトも生み出し、循環経済を実装化していきたいと考える。
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