日本におけるグリーンボンドガイドライン等の改訂版発行に寄せて ~更なる市場拡大に向けた提言~

本稿の目的は、ガイドライン改訂の背景と改訂点について整理するとともに、検討会での議論等も参考として、日本におけるグリーンボンド等市場の質の確保と量の拡大を図っていく上での提言を行うことである。また、本稿により、本ガイドラインが市場関係者に伝えたいメッセージをより明確にできることを期待する。以下は、その提言の概要である。

  • 提言1:グリーンボンドにおいて、個別のグリーンプロジェクトのみならず、同ボンドを発行する企業(事業体)としてのグリーン戦略(あるいはサステナビリティ戦略)等についても情報開示を促進し、さらに資金調達のグリーン化もはかる。
  • 提言2:日本においてトランジション・ファイナンスのニーズが高まるなかで、高炭素排出産業別のトランジションに向けた技術ロードマップに整合するものを対象に、グリーンボンド/ローン、サステナビリティ・リンク・ボンド/ローン、あるいはトランジションボンド/ローン等の活用事例の情報共有化をはかる。
  • 提言3:グリーンボンドやグリーンローンで適格となるグリーンプロジェクトについて、国際的なタクソノミーの議論をフォローするとともに、グリーン成長戦略やクリーンエネルギー戦略とも整合したものとなるよう継続的な見直しを行う。

  • 提言4:投資家からインパクトレポーティングの内容をより重視する傾向が高まっており、同記載内容を深めるとともに、比較可能性を高める方策について検討する。

  • 提言5:SLLやサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)は日本国内では未だ事例が限られており、また、KPIsSPTsの設定等については要求レベルが比較的高いことから、その評価/レビューや検証方法に関する事例の集積と情報共有化をはかる。

  • 提言6:グリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローン等の裾野を広げるため、中小企業等に対して同ローンの活用を促す観点から、特に地方銀行(地銀)の役割が期待される。

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