次世代のサステナビリティ・マインドの涵養に向けて―研究機関が果たす役割―

Event: 日本ESD学会第8回大会
Date: 2025年8月23, 24日(愛媛県松山市教育研修センター)

2015 年の SDGs 採択から 10 年が経過し,学習指導要領に「持続可能な社会の創り手」という理念が掲げられて久しい。しかし,日本の ESD の教育実践に関する成果検証は,ユネスコスクールによる活動調査や単独の学校での検証,教員個人による経験的な言説を除き,量的なデータを用いた実施は少ないとの先行研究の指摘から大きな変化は見られない。本発表は,多様な主体の一つである研究機関が,ESD の更なる推進にどのように貢献できるかを希求するものである。その一環として,筆者らは地方 ESD センターや学校とのネットワーク構築の経験から,学校管理職・教職員を対象としたアンケート・インタビュー調査を実施した。本発表では,その結果に基づき,ESD 実施における学校教育現場の現状と課題,そして今後の方向性について考察する。本調査からは,ESD が総合的な学習の時間や探究学習,課外活動などを通じて広く実践されるようになったこと,児童生徒の成長や進路選択への影響,地域とのつながりの強化
といった好影響が明らかになった一方で,依然として多くの課題が存在することも判明した。SDGs という言葉の高い認知度は実践の追い風にはなっているものの,主流化までは至っていないという認識と実践のギャップや,教職員のゆとりのなさ,特に過疎化に直面する地方においては,他の教育優先事項・予算との競合による推進の困難さが見受けられた。さらに,喫緊の課題である気候変動など最新情報の入手や教材化についての不安も聞かれた。これらの依然として残る課題に対し,研究機関としては,信頼できる情報の提供や教材化の支援,定量的な実態調査とその結果に基づく政策提言など,現状不足している部分を補完する役割が期待される。

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