日本の上場株式市場と気候変動2℃目標との整合性検証

Policy Report
TOPIXの2度目標整合性検証

2016年~2021年の5年間で、電力、自動車、化石燃料生産の3部門のうちTOPIX構成銘柄である企業が生産・利用を計画しているエネルギーと技術が、2℃目標に対して不足または超過していることが示された。

電力部門:TOPIX構成銘柄の電力部門における再生可能エネルギーの設備容量は、2℃目標を達成するために必要な設備容量を下回る。一方、ガス、石炭の設備容量は2℃目標を達成するために必要な設備容量を超過する。従って、2021年のTOPIX構成銘柄による設備容量は、2℃ベンチマークと整合しない。
自動車部門:TOPIX構成銘柄の自動車部門が生産を予定している車種はガソリン/ディーゼル車などの内燃機関車(ICE)に比重を置いており、2℃目標と整合する生産量を超過している。一方、ハイブリッド、電気自動車といった低炭素車種の生産は2°C目標と整合する生産量を下回る。したがって、TOPIX構成銘柄による自動車生産は、2℃ベンチマークと整合しない。
化石燃料生産部門*:TOPIX構成銘柄の化石燃料生産部門は、ガス及び石油製品生産(石炭生産は含まれない)の比重が大きく、2021年時点でのガス及び石油製品の生産は2℃目標と整合する生産量を超過している。したがって、TOPIX構成銘柄による化石燃料生産は、2℃ベンチマークと整合しない。
電力、自動車、石油・石炭化石燃料生産*の3部門は時価総額の点ではTOPIX構成銘柄全体の25%を占めるのみだが、炭素排出量の点では大部分(約70-90%)を占めており、気候変動の文脈で、最も対策が必要と懸念される部門です。そのため、2℃ベンチマークとの不整合は、TOPIXインデックスが全体として気候変動2℃目標に整合していないことを示唆している。結果として、日本の上場株式市場を通じて日本経済に投資する金融機関の投資行動は気候変動2℃目標と合致せず、将来、気候変動における2°C 目標の閾値を超えることによるリスクがあることを示している。

Author:
Chenet
Hugues
Klaus
Hagedorn
Michael
Hayne
Takako
Wakiyama
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