平成28 年度途上国森林保全プロジェクト推進事業報告書

Commissioned Report

途上国の森林減少・劣化に由来する温室効果ガス排出の削減等(以下「REDD+」という。)は重要な気候変動対策であり、気候変動に関する国際連合枠組条約の第21回締約国会議(COP21)で合意された「パリ協定」にもその実施と支援を奨励することが明記されたところである。

REDD+の推進には、途上国に対する資金と技術の提供が必要とされているが、公的資金には限界があることから、今後、REDD+の取組みを拡大していくには、民間セクターからの資金や技術の提供が鍵となる。しかしながら、民間セクターがREDD+に対して投資するには、排出削減クレジットが獲得できる等のインセンティブが必要(①)とされる。また、途上国がREDD+を実施するには、COP決定を踏まえつつ、各々の国情に応じた排出削減量の算定、利益配分や外部資金の活用等に関する具体的な実施ルールを定めることが必要(②)とされる。

我が国は、気候変動対策として二国間クレジット制度(JCM)を推進しているところであり、これまでに16カ国(平成28年3月1日現在)と実施に関する二国間文書の署名に至っている。JCMは、我が国の民間企業等が二国間文書に署名した途上国(以下「パートナー国」という。)の民間企業等と協力して、当該パートナー国での温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクトを実施し、活動による温室効果ガスの排出削減・吸収量に応じて発行されるクレジットを、プロジェクト実施者間で分配する仕組みであることから、JCMでREDD+プロジェクトを実施することで、これらの課題(①及び②)を解決することが可能である。このことから、途上国政府及び我が国の民間企業等からJCMでのREDD+プロジェクト実施への期待が寄せられている。

そこで、本事業により、JCMでREDD+プロジェクトを実施するために必要なルール案(規則・ガイドライン類)の作成とルールの普及を行い、REDD+プロジェクトの早期実現を図り、我が国の排出削減目標の達成と途上国の森林保全を通じた気候変動の緩和に貢献する。

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