「緑の贈与」の効果分析

2013-08
Discussion Paper
「緑の贈与」の効果分析

再エネの導入を促進するため、我々は「緑の贈与」という仕組みを提案している。これは、祖父母が子や孫に対し、現金ではなく太陽光等の再エネを対象とした投資証券や太陽光パネルなどの再エネ設備を贈与することを、贈与税の軽減を以て促すことを企図するものである。この仕組みの利点は、贈与を受けた子や孫は償還金や売電収入を通じて財産を継承することができ、また、祖父母は環境に貢献しつつ自らの財産を次世代に引き継ぐことができるという、世代間や環境と経済のウィン-ウィンの関係をもたらすことである。アンケート調査に基づく結果からは、15年間に亘る本仕組みの経済規模は16兆円に上ると推定されている。
 本稿の目的は、再エネのシェアや雇用機会、化石燃料輸入費、CO2排出削減などの点から、緑の贈与の正の効果を推計して示すことである。本分析では、まず、エネルギー・環境会議が構築したシナリオに沿い、2016年から2030年までのエネルギー需要や再生可能エネルギーの導入とその費用、化石燃料輸入、CO2排出、再エネ部門(住宅用太陽光、メガソーラー、陸上風力、中小水力、地熱、バイオマス)での雇用に関するリファレンスケースを設定した。これに基づき、年間1兆700億円を上記の再エネに均等に追加投資した場合(各再エネに対し1,780億円)の効果を推計した。2030年までのエネルギー需要をリファレンスケースと同じとし、再エネの普及に伴い火力発電を削減できると仮定した結果、15年間合計での再エネの追加的導入量は約4,600万kW、それに伴う発電量は約1兆kWhと試算された。また、15年間での追加的な雇用創出はおよそ99万人、化石燃料輸入費の削減額は約8兆円、CO2排出削減効果は6億トンと推定された。
 以上のような正の影響を考えると、緑の贈与は、政府で現在議論されている再エネ普及目標における資金面での課題を克服するための主要施策になるポテンシャルを有すると言えるであろう。

Date: