アジアの農村地帯に適した造林活動計画:土地紛争回避が成功の鍵

Number 06

先進国を中心とする木材需要の高まりに応じて、人工林の総面積は過去20年で10倍に拡大した。荒廃地等における人工林の増加は、天然林に対する伐採圧力を緩和し、気候変動の抑制、住民の生計への支援、国家の開発政策への寄与など、極めて重要な役割を担っている。

現在、世界の人工林の60%以上はアジアに存在している。近年におけるアジアの人工林面積の急激な拡大は、特に中国、ベトナム、インドなどにおいて大規模な造林プログラムが実施されてきた結果である。しかし、農村地帯における企業又は政府主導の人工造林は、地域住民を彼らの生活の重要な基盤となっている土地から排除する結果となることが多く、しばしば地域の社会紛争を引き起こしてきた。造林プログラムに地域住民が参加している場合でも、土地利用が制限されるため、造林地を維持管理する意欲が失われるケースが多い。

土地紛争を避け、地域住民の造林への意欲を喚起することは、造林地の持続可能な管理を行う上で極めて重要である。民間企業や政府主導による現在の造林活動を再考し、住民が企業と契約を結び自らの権利を確保する「契約型」や、住民が主体的に関わることができる「住民主体型」の造林活動に対する政府の支援を拡大していくことが求められている。人工造林の推進における政府や企業の役割を適正化し、造林計画や森林管理において地域住民の参加の道を切り拓くことが重要である。

Remarks:

English version:
http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=812

Date:
Topic: