バイオ燃料とインドの農村開発:アンドラ・プラデシュ州における官民パートナーシップ

In IGESニュースレターWhat's New From IGES
Volume (Issue): 2008.11
Non Peer-reviewed Article

インドでは最近、バイオ燃料に関する国家政策が最終決定されたが、多くの州では以前から、雇用創出や荒地を利用した燃料生産を目的とする農村開発政策の一環としてバイオ燃料が推進されてきた。雇用の促進に関しては、一部の州で全国農村雇用保障制度等の政府支援プログラムを活用したバイオ燃料の推進が図られており、同制度は、小規模農家や土地を持たない労働者に対して年間最低100日間の雇用保障を目標としている。また、州政府には、現地のニーズに応じた独自の開発プロジェクトを策定する柔軟性が与えられており、バイオ燃料作物の開発に焦点を当てたプロジェクトが実施されているところもある。

最も注目されているバイオ燃料作物はジャトロファであるが、他にクロヨナ等の作物を用いた取り組みも進められている。2008年2月にIGESが調査に訪れたアンドラ・プラデシュ州では、クロヨナを用いたバイオディーゼルが州政府によって推進され、官民パートナーシップの下、13の干ばつ地区の荒地でクロヨナの栽培が行われている。これらの荒地はもともと農家の土地であったが、水不足、土壌がやせている、土壌が硬い、土地の高低差があるなどの理由から開墾されていなかった。そこで政府は、クロヨナの接木苗を供給し、農家に技術支援を行う複数の企業家を指定した。これらの企業家は、政府が定めた最低支持価格(1キログラム当たり0.22USドル)で種を購入する契約を農家や地方行政局と結ぶことができ、農家はもし高値がついていれば市場で種を売ることもできる。

ほとんどリスクのないこの寛大な支援プログラムは、農家にクロヨナを栽培する強い動機づけを与えている。また、最低支持価格の保証だけでなく、60キログラムの窒素や64,000リットルの水(1ヘクタール当たり)等の材料調達に100%の補助金が交付され、水や労働者の輸送も補助金でカバーされている。接木技術の導入によってクロヨナの開花・結実期間は5~6年から2.5~3年に短縮され、1ヘクタールにつき約3.5トンの種子(年間収益約750USドルに相当)が生産されるようになった。また、結実期間の初期には豆類やヒマ等の間作物を栽培することができ、それによって1 ヘクタール当たり420USドルから580USドルの収入が得られる。さらに、雇用面でも年間で1ヘクタール当たり66人日の雇用創出が見込まれている。企業家には、バイオディーゼル1リットル当たり0.53USドルの最低支持価格が保証され、1ヘクタール当たりの収穫量で生産されたバイオディーゼルで年間650USドルの売上高が得られるだけでなく、副生成物(グリセリン、グリセロール、シードケーキ肥料等)の収益ももたらされる。

環境面では、温室効果ガスの削減、乾燥地域における土地被覆の増加、さやを用いた有機肥料の製造等が期待されている。これらについてはまだはっきり実証されたとは言えないものの、官民パートナーシップの下でバイオ燃料生産を推進するという農村開発プログラムが、エネルギー供給の確保だけでなく、農村地域への恩恵という点でも成果をあげ始めていることは明らかである。現在、石油価格の高騰が続いていることを考えると、いずれはバイオディーゼルに最低支持価格を設定する必要がなくなるかもしれない。

Remarks:

English version of this article:
http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=1844

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