アジア太平洋地域における REDD+ガバナンス体制の検証 -多様なアクターの参加と分野横断的アプローチの可能性-

Event: 第24回日本熱帯生態学会年次大会(宇都宮)
Presentation

多くの発展途上国において、森林の減少・劣化からの排出削減活動(REDD+)は森林と気候変動緩和に関する重要な政策課題として認識され、国家を主体とする体制の構築が進められる。一方で、森林破壊の原因は木材伐採、農業開発、地域の貧困問題、土地利用計画、インフラストラクチャーの開発といった多岐に渡り、また、REDD+をめぐる議論は、先住民族をはじめ、森林に依存した生活を営む人々の参加と権利に関する問題や生物多様性の保全と不可分である。このように、REDD+の実施には、森林以外の分野を含む省庁横断的なアプローチが不可欠であり、地域住民を含む多様なアクターが意思決定プロセスに参加できるガバナンスの構築が求められる。
本研究は、国レベルにおけるREDD+の体制を検証し、その実施に向けた課題について、構造的視点から明らかにすることを目的とする。アジア太平洋地域における主要な森林資源国でありREDD+に積極的に取り組むインドネシア、カンボジア、パプアニューギニア(PNG)、ラオスとベトナムの5か国を事例に、アクターの参加、構造と役割に着目し、REDD+の組織的枠組みを分析した。これら5か国は、多国間や二国間のドナーによる支援を受けて、REDD+メカニズムの構築を進めている。
本研究の分析結果から、各国のREDD+の体制は、様々な省庁や政府機関を含んでおり、セクター間の調整を考慮していることが明らかになった。一方で、参加する政府組織は、中央政府に限られており、森林行政に影響を及ぼす地方政府がどのように関連するのかは明らかでない。構造的特徴としてカンボジア、ラオス、ベトナムでは森林を管理する行政機構を基盤とするREDD+体制の構築が進むが、インドネシアやPNGでは森林セクターとは異なる行政機関によって管理されており、国によって異なる傾向を示した。
また、各国において参加の度合と役割に違いが見られるものの、政府機関以外のアクターがREDD+組織的枠組みに組み込まれている。これら組織は主にドナー機関、NGO、研究機関から成り、地域・先住民や市民社会のREDD+体制の中での役割は限られている。彼らの参加は主にコンサルテーションによると考えられる。
今後、こうしたガバナンス体制による意思決定メカニズムに着目するとともに、その政策的意義ついて検討していく必要があると考えられる。

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