第7回持続可能な開発に関するアジア太平洋 フォーラム: 様式(モダリティ)とハイレベル政治フォーラムへの意義から見る今年の構成解説

Briefing Note

7回持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD7)が、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)により、2020325日から27日にタイ・バンコクのUNカンファレンスセンターにて開催される予定である。過去の、少なくとも2017年以降のAPFSDとの大きな違いとして、APFSD7 ではレビュー対象となる持続可能な開発目標(SDGs)のゴール群が存在しないことが挙げられる。これは、2020年度のSDGsに関する「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が、レビュー対象となるSDGsゴールを設定する代わりに、20199月のSDGsサミットで採択された政治宣言である「加速された行動と変革の道筋: 持続可能な開発に向けた行動と展開の10年間の実現 (Accelerated action and transformative pathways: realizing the decade of action and delivery for sustainable development)」に注力するとグローバルレベルで決定したことを受けたものである。

 

この決定を馴染みがないものだと受け取る向きもあるだろう。国連会合の手続きにそれほど詳しくない人々にとっては、毎年テーマとなるゴールが設定されるのがいわば共通認識だったからである。本稿は、より広範な読者が抱くであろう、「なぜ過去のAPFSDではレビュー対象となるゴールが設定されてきたにもかかわらず今年は異なるのか」とのシンプルな問いに答えるものだ。そのためには必然的にHLPFがもともと有する法的義務の詳細と、APFSDを含む他の会合との関係性についても言及する必要がある。同様に、HLPFが具体的にレビュー対象のゴールを設定しない中での今年のAPFSDの焦点に加えて、追加的な背景についても触れたい。それらにより、APFSDの枠組みがいかに、そしてどのような意図で形作られており、HLPFがグローバルな持続可能性のアジェンダ設定にどれだけ大きな影響を与えているかについても、本稿が総合的な情報を提供できるものと考える。当該領域(特に国際的なSDGsに関わるプロセス)での経験を有しながらもあまりAPFSDにこれまで注意を向けて来なかった読者に対しては、HLPFの枠組み予測にあたり、なぜAPFSDに着目すべきなのか、その価値を提示できることを期待する。

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