IPBESシンポジウム「持続可能な将来に向けて、自然の価値とわたしたちの価値観を問い直す」共催

Press Release

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、環境省が2023年2月19日(日)に主催するオンラインシンポジウム「持続可能な将来に向けて、自然の価値とわたしたちの価値観を問い直す」を共催いたします。

私たちの命や生活は、生物多様性がもたらす自然の恵み、すなわち生態系サービスに大きく支えられています。しかし、人間によるさまざまな活動拡大の影響を受け、世界の生物多様性は急速に劣化・損失が進んでおり、回復に向けたアクションが喫緊の課題となっています。12月19日に閉幕した生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)第2部でも、こうしたアクションの2030年に向けたターゲットを含む「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。

生物多様性の劣化・損失の背景ならびに回復の鍵のひとつに挙げられるのが、自然の価値に対する私たちの価値観です。2022年7月、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES※)は「自然及びその便益に関する多様な価値の概念化に関する方法論的評価報告書(以下、価値評価報告書)」を発表し、以下をはじめとする課題を指摘しました。
 

  • 自然の持つ多様な価値ならびに私たちが自然に対して持つ多様な価値観に反して、多くの政策が、市場取引における経済価値など、ごく限定的な価値・価値観を優先してきた
  • 実情よりも狭い価値・価値観を優先することで、自然と社会、また将来世代を犠牲にするとともに、先住民および地域社会の世界観に紐づいた自然の価値がしばしば無視されてきた
  • 昨今の生物多様性減少を反転させるには、経済価値ばかりを過度に重視しがちな人間社会のあり方や私たちの価値観を問い直す必要がある

 

今回のシンポジウムでは、自然の持つ多様な価値を再認識し、私たちの価値観を問い直すべく、IPBES価値評価報告書の要点を紹介するとともに、包括的な豊かさを追求する新しい価値観に基づく社会への転換に向けた取り組みや知見を、以下の多彩な登壇者が紹介・議論します。

 

・秋辺デボ 阿寒湖温泉地区景観協議会 会長
阿寒アイヌ工芸協同組合専務理事、映画「アイヌモシリ」出演、ユーカラ劇脚本・演出など多方面で活躍。アイヌの自然観について雑誌記事などの執筆多数。阿寒国立公園満喫プロジェクト地域協議会阿寒地域部会構成員。「COP10・グローバルESD対話集会」や観光庁主催の「持続可能な観光による地方創生国際シンポジウム」などにパネリストとして参加。


・奥津爾・典子 オーガニックベース 主宰
2003年より「オーガニックベース」を主宰。夫婦で2013年より雲仙に家族で移り住み、雲仙に根付いた在来種野菜の種を守り継ぐ活動を始める。2019年秋に、雲仙市千々石町にて地域の在来種野菜をベースとするオーガニック直売所タネトを開店。2021年からは種と農、環境問題、そして風土をテーマにした「種を蒔くデザイン展」、それぞれの土地の在来種や伝統料理を味わう9日間の祝祭「種を旅と」を主催するなど、さまざまなイベントを通じて土と台所を繋ぐ活動を続けている。


・斎藤幸平 東京大学大学院 総合文化研究科 准教授
1987年生まれ。専門は経済思想、社会思想。『大洪水の前に』によって権威あるドイッチャー記念賞を日本人初、歴代最年少で受賞。45万部を超えるベストセラー『人新世の「資本論」』で新書大賞 2021を受賞。最新作は『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』。


・武内和彦 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長
東京大学理学部卒業。同大学院農学系研究科修士課程修了。農学博士。専門は、地域生態学、サステイナビリティ学。同大学院農学生命科学研究科教授、同大サステイナビリティ学連携研究機構長・教授/特任教授、国際連合大学上級副学長などを経て、2017年より現職。2019年より東京大学未来ビジョン研究センター特任教授。中央環境審議会会長代理および自然環境部会長、国際学術誌Sustainability Science編集長などを兼務。


・永岡里菜 株式会社 おてつたび 代表取締役CEO
地域の短期的・季節的な人手不足で困る収穫時の農家などと、農業や地域に興味がある地域外の若者をマッチングする webプラットフォーム「おてつたび(お手伝い×旅)」を運営。お手伝いを通じて自分にとって好きで堪らない特別な地域が出来る、そんな“新しい旅”の形を提案している。


・橋本禅 東京大学大学院 農学生命科学研究科 准教授
専門はランドスケープ・プランニング、生態系サービス評価とシナリオ分析。東京大学大学院農学生命科学研究科で博士号取得。マサチューセッツ工科大学、国立環境研究所、京都大学大学院農学研究科、大学院地球環境学堂(講師、准教授)を経て2015年より現職。IPBESアジア・オセアニア地域アセスメントおよび地球規模アセスメントの代表執筆者を務めたほか、2018年よりIPBES学際的専門家パネル(MEP)メンバー、2022年よりMEP共同議長を務める。

 

詳細・申し込みは以下をご覧ください。
https://www.iges.or.jp/jp/events/20230219

 



※生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織。2022年12月現在、139カ国が参加しており、事務局はドイツ・ボン。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進める気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもある。