Announcement
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、2020年6月4日(木)、CO2排出量を正味ゼロとすることができた場合、2050年、私たちの生活や社会の仕組みはどう変化しているかを表した報告書「ネット・ゼロという世界 -2050年 日本(試案)-」を発表しました。
2018年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した1.5℃特別報告書を踏まえ、2050年ネット・ゼロが各国の野心度を測るベンチマークとなり、昨年、多くの国や地域が2050年ネット・ゼロにコミットしました。また、周知のとおり、我が国も「パリ協定に基づく長期温室効果ガス低排出発展戦略(以下、長期戦略)」において、「今世紀後半の早期の脱炭素化を目指す」とし、「環境と経済成長の好循環を実現する」としています。では、実際に「環境と経済成長の好循環を実現」し「脱炭素化を実現」した社会とはどのような社会なのでしょうか。
本報告書は、日本において、どのようにネット・ゼロ社会の実現を図るのかということについて、問題提起を行うことをねらいとしています。第1章では、広範な社会変化を伴いながらネット・ゼロ社会を実現していくトランジションシナリオと、様々な事情により社会変革がほとんど起きないロックインシナリオの2つのシナリオを想定し、2050年のネット・ゼロ社会におけるエネルギー需要の動向を中心に定量的な分析を試みました。第2章では、トランジションシナリオにおける社会全体の変化を都市と地域、暮らし、産業、適応という観点から展望し、第3章では、ネット・ゼロ社会に向けた主要な課題や論点を概観しました。
本報告書は、日本において、どのようにネット・ゼロ社会の実現を図るのかということについて、問題提起を行うことをねらいとしている。第1章では、目標年として2050年を掲げ、ネット・ゼロ社会におけるエネルギー需要の動向を中心に定量的な分析を試みた。その結果、広範な社会変化を伴いながらネット・ゼロ社会を実現していくトランジションシナリオでは、ネット・ゼロの達成時には、CO2貯留に関するリスクの低減、及び化石燃料依存脱却によるエネルギー・セキュリティー向上に大きく貢献することが示された。第2章では、トランジションシナリオにおける社会全体の変化を都市と地域、暮らし、産業、適応という観点から展望した。第3章では、ネット・ゼロ社会に向けた主要な課題や論点を概観した。