製品共同利用の消費者受容性における問題点と解決策の方向性: 北欧のエコビレッジにおけるカーシェアリングから

KRC-2005-No.4
Discussion Paper
製品共同利用の消費者受容性における問題点と解決策の方向性: 北欧のエコビレッジにおけるカーシェアリングから

環境の危機が叫ばれる中、ファクター4、10レベルの改善を達成する可能性を持つ取り組みコンセプトとして「製品サービスシステム(Product Service System)」等のシステムイノベーションコンセプトが提唱されている。このイノベーションコンセプトは、「消費者が求めているのは製品そのものではなく製品により提供される機能である」との前提に立ち、従来と異なる方法で消費者の要望を満たそうとするもので、製品リース・レンタル等をオルタナティブな機能提供方法として提案している。一方で、研究が進むにつれて「期待された程の大幅な環境負荷低減に繋がることは少ない」、「消費者受容性に問題がある」等の問題点も指摘されるようになった。本稿では、オルタナティブな機能提供方法の中でも環境負荷低減効果が高いとされる「製品共同利用」に焦点を当て、消費者受容性の問題に対する解決策を検討することを目的として、北欧のエコビレッジ(北欧はエコビレッジ発祥の地)におけるカーシェアリングを対象としたケーススタディーを実施した。ケースの分析を通じ、様々な解決策が示唆されたが、製品を共同で利用する利用者間のコミュニケーションが、「共有物における社会的ジレンマ」にまつわる問題点や、製品の自由度の低下など、複数の問題点の解決に貢献しうることが明らかになった。さらには、製品の共同利用を地域コミュニティー内で行うことが、利用者間のコミュニケーションが下支えされる、利用者全員に利便性の高い製品保管場所を提供しうる、などの複数の利点をもち、消費者受容性の問題点の多くの解決に貢献しうることも示唆された。この、地域コミュニティーベースのスキームの利点を通じた問題の解決が、製品共同利用を促進する上でのひとつの方向性であることは、今後の製品共同利用普及についての政策を考える上で重要な示唆を与えるものであろう。

Date: