環境研究総合推進費【S-16】 一般公開シンポジウム

アフターコロナの持続可能な消費と生産形態の確保に向けて

2021年1月15日(金)14:00~16:30

2015年に国連で採択された持続可能な開発のための17の目標SDGsは、これからの社会のあり方を指し示すものでした。その採択から5年後に襲ってきた新型コロナウィルス感染症の拡大で、私たちの生活も経済社会の活動も否応なしに変革を求められています。本シンポジウムでは、アフターコロナの持続可能な消費と生産(Sustainable Consumption and Production:SCP)形態の確保に向けて、本当の豊かさとは何か、充足した生活とは何か、消費と生産は何をなすべきかを議論し、地域政策、公共政策、企業戦略のデザインのあり方を示していきます。

Event Details

Date/time
2021年1月15日(金)14:00~16:30
Venue

オンライン(Zoom)

Languages
日本語/英語(同時通訳あり)
(Simultaneous interpretation)

Presentation Materials

14:00 開会挨拶 平尾 雅彦(東京大学)  
14:10 基調講演 "Sustainable Lifestyles and a Post-COVID-19 Society"
Dr. Lewis Akenji, Hot or Cool Institute.
 
14:30 パネルディスカッション モデレーター・平尾雅彦  
「コロナ後のSCP政策の方向とそのための13のエントリーポイント」
堀田 康彦(地球環境戦略研究機関)

COVID19を受けて、改めて持続可能な消費と生産形態に向けた社会モデル、新たなビジネスモデルの構築が急務となっています。こうした観点から、SCP政策の今後の方向性とそのための13のエントリーポイントを紹介すると同時に、SCPの社会実装へ向けた政策デザインのあり方について議論します。
 
「新国富指標と地域政策立案への活用」
馬奈木 俊介(九州大学)

GDPはマクロ経済指標として重要な役割を果たした一方、20世紀後半からの環境問題や福祉・保健への意識の高まりに伴い、経済の総合的な豊かさを測るうえで限界があることが指摘されてきました。国連・新国富指標がSDGs評価として大きな注目を浴び、実際の政策利用へ普及し始めています。その実際の活用方法を含めて議論します。
 
「地域性と充足性を考慮したプロダクトデザイン」
小林 英樹(大阪大学)

持続可能な消費と生産の鍵のひとつは「ニーズの充足」ですが、その最適解は対象地域によって異なります。こうした背景から、私たちはMax-Neefのニーズ枠組を取り入れた生活圏アプローチを提案し、日常生活で使用する製品群と充足性の関係を評価する指標を開発しました。また、生活文化の違いを記述した地域情報を利用する設計支援システムも開発しました。ベトナムを対象としたこれらの事例研究を紹介します。  
 
「コロナ時代の消費へシェアリングが果たす役割」
天沢 逸里(東京大学)

消費活動を所有から使用へと促すシェアリングエコノミー。コロナ禍におけるシェアリングでは、一部が衰退するなか、需要増が報告されたサービスも存在する。本発表では、これからシェアリングを持続可能な消費と生産形態につなげるために、シェアリングが果たすべき役割をこれまでの研究事例と共に議論する。
 

「コロナの先のSDGsと持続可能な消費と生産」
蟹江 憲史(慶應義塾大学)
新型コロナウィルスは、現代社会がいかに持続不可能であったかを明らかにしました。それは、消費と生産パターンにおいても同様です。サプライチェーンは途切れ、経済の停滞の大きな原因となりました。その視点に立てば「変革」が必要不可欠であるSDGsの達成に向けて、今こそ千載一遇の機会が訪れているという見方もできます。ファッション業界や食品業界などSDGs達成へ向けた変革の機運は見られ始めており、この動きを加速させるには、SDGsを前面に打ち出した公共政策と民間の戦略とが重要になります。

 
「持続可能な消費と生産形態を共創する」
田崎 智宏(国立環境研究所)

持続可能な消費と生産形態を実現するために、消費側の取り組みと生産側の取り組みとに分けて、それぞれに改善を図っていくというアプローチがこれまでの主流でした。しかしながら、このアプローチは多様化した現代に適用するには限界があり、それを補うアプローチとして消費と生産を一体的に捉え、共に創り上げていくという発想が重要となります。本講演では、このような問題認識を説明するとともに、持続可能な消費と生産分野における共創アプローチの概要を紹介します。
 
16:00 総合討論
16:30 終了