FAIRDO
第2回FAIRDO車座会議
「福島の復興-地域からの合意形成に向けて-」

9月27日、国、福島県、県内市町村の除染・放射線対策担当者や福島県内で被災者支援などに活動するNPOなどを招いて、「第2回FAIRDO車座会議」を福島市で開催しました。福島では、除染、復興、賠償等の複合的な課題に直面しており、その解決に向け、行政と住民の関わり方がより一層重要となっています。こうした状況の下、会議では、地域における行政と住民の合意形成の場や仕組みを構築する実現可能性について話し合われました。 第1セッションでは、「除染・復興のための地域の合意形成のこれまで・これからの取り組みの共有」と題して、これまでに市町村で実践した除染・復興のための地域での合意形成に向けた取り組み、地域での車座会議の必要性、地域で車座会議を実施する場合の課題や実現可能性、また、地域で車座会議を実施していく上で共有していくべき情報について、4名の市町村関係者及び専門家の方から発表が行われました。

まず、福島市の「除染・復興のための地域の合意形成に資する福島市の取り組み」では、ふるさと除染実施計画に基づいた福島市の除染状況、地域除染等対策委員会や地区除染実施検討会の除染に係る合意形成に向けた取り組み、福島市復興再生ワークショップのような復興に係る合意形成の取り組み、取り組みからの課題等が共有されました。福島市では、地域の除染を効果的・効率的に進めていくため、地域除染等対策委員会、地区除染実施検討会により、除染に関する意識の高揚が図られています。これらの取り組みからみえてきた課題として、住民が主体的に参加する「協働」の仕組みとそのプロセスの重要性、市民・行政・除染業者等の各主体が相互に補完しながら得意な分野で活躍する協働と役割の明確化の必要性が挙げられました。また、車座会議を通じ、住民の失われた生きがい・変化した日常をどのように取り戻すか、また、復興のプロセスや未来のイメージについての議論の重要性が指摘されました。

伊達市の「合意形成と情報共有について」は、伊達市での合意形成に向けた取り組み、リスク・コミュニケーションの限界、地域で車座会議を実施する場合の課題や実現可能性、情報共有の意味すること等について共有されました。伊達市の除染説明会では、住民に対し、除染や仮置き場の必要性を「ビーズで見える化」、「ライオンの話」といったわかりやすい例を用いた説明 、また仮置き場見学会等を通じ、徐々に合意形成が進んでいきました。リスク・コミュニケーションにおいては、科学的・理論的に偏り過ぎていること、国・行政・住民の各主体が訓練不足であること、男性目線のリスコミ等の課題が挙げられました。また、地域で車座会議の実施に向け、高齢男性中心の会議の打開、ダイアログやディベートの訓練、若者や女性の参加、想像力・創造力・沿う増力の3つの「そうぞうりょく」の必要性が指摘されました。情報共有については、今は住民も情報の出し手であること、何の情報をプラスとするかは個人の判断であることを考慮した上で、車座会議を通じ、「共有すべき情報は何か」の議論の必要性が言及されました。

桑折町の「桑折町における仮置場設置に向けた地域の取組み」については、住宅地内の仮置き場(大和団地)の状況、桐ヶ窪町内会の取り組みと教訓等について共有されました。大和団地では、仮置場見学会を通じ住民に実際に見てもらうことにより理解を得て、最終的に多数決で仮置き場が決められました。また、桐ヶ窪町内会では、臨時総会や検討委員会の開催、仮置き場の設置に関する確認書の掲示、反対者への要求や要望への対応が行われています。住民との合意形成に向け、臨時総会で毎回仮置き場の資料を配布・町内会長自ら放射線や安全対策を説明し不安の解消に努めたこと、臨時総会の結果や取組み経過をその都度まとめ全戸に配布・情報を共有し理解を深めたこと、また、桑折町と「仮置き場設置に関する確認書」を取り交わし町内会の方々の安心感の醸成に努めたことが指摘されました。

筑波大学五十嵐准教授の「社会的分断を前にした協働とマーケティング~柏の円卓会議の経験から~」においては、柏市の農業と放射能問題の状況、円卓会議開催の経緯、「My農業を作ろう」プロジェクトによる放射線測定や情報公開、プロジェクトからの成果や課題について共有されました。柏市での円卓会議は、生産者と消費者・飲食店を繋ぐ活動をしていたストリートブレイカーズを事務局に、柏周辺の生産者、流通、飲食店、消費者に測定業者を加え発足しました。この円卓会議より始動した「My農家を作ろう」プロジェクトの成果として、生産者自身が圃場のコンディションを細かく把握できたこと、汚染範囲の特定が可能になったこと、地域の消費者とのコミュニケーションの場となったことが挙げられました。また、市民(消費者)はセグメント化されているという基本認識のもと、公平性という行政の役割と限定されたマーケットを狙って追加的な施策の打つ企業・市民団体、また、行政はプラットフォーム的機能を発揮し、セカンドオピニオンを必要とする市民を誘導する、といった官民の新たな役割分担の可能性が指摘されました。

第2セッションでは、「地域におけるこれからの除染・復興に向けた合意形成の場作りに向けて」と題して、まず初めに、東京工業大学原科名誉教授から「合意形成の場と運営方法の理論と実践」について説明された後、地域での車座会議の実施に向け、合意形成の場の設定や議論の公開等について議論されました。「場の設定」については、会議メンバーに専門家やステークホルダーを入れる、賛成派・反対派の人数を同じにする、男女・地域・業種をバラバラにするといった合理的・公平なメンバー構成の重要性が話し合われました。「議論の公開」については、公開することにより、言いたいことが言えなくなるといった課題があり、非公開と公開の場の併用の必要性が指摘されました。さらに、会議を運営する上で、行政のマンパワー不足や訓練の必要性といった課題についても言及されました。

日時
2013年9月27日(金) 13:00 - 17:00
会場
福島市アクティブシニアセンター・アオウゼ(A・O・Z)大活動室1&2
主催
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)

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当日発表資料
テーマ 1.「除染・復興のための地域の合意形成のこれまで・これからの取り組みの共有」
「除染・復興のための地域の合意形成に資する福島市の取り組み」
福島市政策推進部危機管理室除染推進課主査 半澤一隆/石田晋
PDF (1MB)
「合意形成と「情報共有」について」
伊達市放射能対策政策監付次長除染対策担当 半澤隆宏
PDF (458KB)
「桑折町における仮置場設置に向けた地域の取組み」
桑折町原発事故対策課長 渡邉美昭
PDF (2.8MB)
「社会的分断を前にした協働とマーケティング~柏の円卓会議の経験から~」
筑波大学准教授 五十嵐泰正 
PDF (845KB)
テーマ 2. 「地域におけるこれからの除染・復興に向けた合意形成の場作りに向けて」
「合意形成の場・運用方法」
千葉商科大学教授/東京工業大学名誉教授 原科幸彦
PDF (663KB)

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