なぜ「気候安全保障」は、その重要性が叫ばれながら、具体的な政策に結びついてこなかったのか。本稿は、その根本原因が、既存の気候変動対策の基軸である「適応」との役割分担の曖昧さにあったことを論証し、この政策的な膠着状態を打破するための明確な処方箋を提示するものである。 本稿の核心的な提案は、気候安全保障を「適応」との明確な「差分」として再定義することにある。すなわち、エネルギー移行に伴う資源競争やサプライチェーンの混乱といった、従来の適応策の枠組みから構造的にこぼれ落ちてきた「気候社会経済ハザード」に起因するリスクへの対処こそが、気候安全保障が担うべき固有の領域であると提唱する。この新たな視座は、先行研究が答えられなかった「なぜ緩和・適応だけでは不十分か」という本質的な問いに...
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IGESは、北九州市産業経済局、(公財)北九州産業学術推進機構(FAIS)、北九州工業高等専門学校と連携し、北九州GX推進コンソーシアムの会員企業向けに、カーボンニュートラルの実現と産業競争力の強化を同時に目指すビジネススクールを2023年度から開催しています。 IGESは、本スクールのカリキュラム設計から当日の運営を行う他、講師およびファシリテーターとしても携わっています。 ここに掲載するチラシでは、募集要件の他、全6回のカリキュラムもご確認いただけます。 ※各回のスクールの様子は「北九州GX推進コンソーシアム」からご覧になれます。 https://ktq-gx.com/learn-gx/%e3%80%90links%e3%80%912024%e5%b9%b4%e5%ba%…...
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兵庫県では交通・運輸部門の脱炭素化に向け環境負荷の小さい低公害車、特に燃料電池自動車(FCV)の普及促進を図っており、その推進策として、2014年7月、兵庫県燃料電池自動車普及促進ビジョンを策定した。本業務ではその実現に向け、FC商用車(FCバスやFCトラック等)の導入策や水素ステーション整備の促進策(適地の選定やインフラ事業者の誘致方法等)を検討した。兵庫県では2025年度までに県内に10基以上の水素ステーションの整備を目指しており、その実現に貢献することも期待される。昨年度の阪神・播磨・淡路の3地域での水素ステーション整備方策等の検討結果を基に、今年度はその具体的な整備条件等を整理した。
当資料は、地球温暖化対策などに関心があり、基本的な情報を得たいという方々のために、再生可能エネルギーの利用を進める際に理解しておくべき様々なキーワードをできるだけ平易に解説することを目的に作成したものです。SDGsやESGといった社会の動きから、FIP制度や証書制度といった制度まで幅広くカバーしており、各キーワードにつき1ページで図表を多く使って解説しています。 2021年3月に本資料の初版を公開して以来、例えば2024年3月には、企業の方々だけでなく地方自治体で新たに環境政策のご担当になられた職員の方々を読者として想定して内容の見直しを行うなど、改訂を重ねてきました。今回は、最新の制度改正などを反映してさらに改訂を行っています。
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This report summarises the findings of the following OECD initiatives that are particularly useful in considering the integrated implementation of domestic measures in Japan: the latest developments in OECD work on the positive tipping ponts; policy related to hydrogen and hard-to-abatement sectors; and the model analysis related to the Global...
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IGES北九州アーバンセンターは「北九州GX推進コンソーシアム」のボードメンバーです。 地元の中堅中小企業の参考になるような国内外のGXやサステナビリティに関する情報をコンソーシアムのウェブサイトでお届けしています。 ◎2024年4月から2025年3月までの寄稿文は以下の通りです。 <GXを学ぶ> 2024.5.8公開 「GX入門 vol.1 GXとは何か?」( https://x.gd/fmzwy) 2024.5.8公開 「GX入門 vol.2 GXはなぜ必要なのか?」( https://x.gd/N230P) 2024.5.8公開 「GX入門 vol.3 GXを後押しする資金フローの変化」( https://x.gd/w0sRx) 2024.5.8公開 「GX入門 vol.4...
Climate Security Challenges in the Asia-Pacific: Securing Energy, Trade and Transition
Japan, as an island nation with limited natural resources, has an energy self-sufficiency rate of only 13%, ranking 37th out of 38 OECD countries. Since over 97% of fossil fuels are imported, domestic energy prices are significantly influenced by international conditions and the exchange rate of the Japanese yen. The Ukrainian war and the...
環境省令和6年度里海モデル事業報告書
(1)事業名:「ブルーカーボンの保全・モニタリングを通じた地元環境学習の機会増加と海辺のにぎわいづくり」 (2)事業目的 環境省事業「令和6年度里海づくりモデル事業」として採択された「ブルーカーボンの保全・モニタリングを通じた地元環境学習の機会増加と海辺のにぎわいづくり」(単年度事業)の実施の一環として、葉山町・長者ヶ崎海岸エリア(一色海岸を含む)を対象に、以下の4つの事業を中心に、活動を展開した 環境モニタリング等を実施し、取得した環境データの可視化 地元の環境学習機会の増加 メタバース空間の構築と教育プログラムの開発 海辺のにぎわいづくりに資する拠点(フリースペース)の整備、イベントの開催 (3)事業内容 実施した事業は下記のとおりである。 環境モニタリング等を実施し...
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Technology in Society所収
With nearly 70 % of the global population expected to live in urban areas by 2050, cities will need to manage energy transitions to achieve ambitious carbon neutrality goals. As the current rate of decarbonization in cities is too slow to achieve these ambitious goals, feasible pathways toward deep decarbonization are becoming increasingly urgent...
2024年11月25日のNDC合同会合で事務局が提示した日本の排出削減目標案の根拠となったシナリオ分析について、世界全体の1.5℃目標とどのような関係にあるかを検討し、以下の点を指摘する。(1) 世界モデルで評価しているRITEのシナリオ分析に基づくと、排出削減経路として「上に凸」をとれば、日本の排出削減ペースは先進国だけでなく世界全体に比べても緩やかなものになる。 (2) 日本が直線的な削減経路をとった場合、国際合意の根拠となっている1.5℃目標に向けた世界の排出削減経路に比べて削減が遅くなる。 (3) 分析された、先進国は直線的削減かつ世界全体で1.5℃目標を維持しようとするシナリオは、世界全体での排出削減ペースが遅く、1.5℃目標達成に向けてリスクが大きい。
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