世界経済の成長センターとなってきた東アジアが様々なリスクにさらされています。緊張が高まる台湾海峡や朝鮮半島といった伝統的な安全保障リスクだけではありません。中国の台頭などによるパワーシフトと戦後の国際秩序の揺らぎが地政学的リスクを増大させ、「新冷戦」とも称される米中の大国間競争の影響が地域の経済や産業、科学技術、文化、教育など多方面に及び始めています。米ソの冷戦の最前線が欧州だったのに対し、「新冷戦」の最前線は東アジアだとの見方があります。 この地域の著しい技術革新や産業経済の発展自体も新たなリスクをもたらしています。人工知能(AI)などのデジタル技術の発展はさらなる経済成長のエンジンとなる一方、人々の想像を超えて、経済社会の在り方そのものを変える可能性があります...
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2021年度アジア研究報告書 (日本経済新聞社からの受託研究)「東アジアリスクと日中関係」所収
温室効果ガス排出を実質ゼロにするネット・ゼロ目標の達成に向け、日本、中国、韓国の3カ国がともに再生可能エネルギー(再エネ)や水素エネルギーの導入に力を入れている。 中国は、再エネ資源が豊富な内陸部と再エネ需要の高い沿岸部地域を結ぶ延べ4万8000キロメートル以上の特高圧長距離送電網を整備し、再エネ資源の大規模開発を行っている。 日本と韓国は中国に比べ、再エネ開発ポテンシャルや二酸化炭素の国内貯蔵能力において制限が多く、大胆な水素戦略の策定の障壁となっている。 日中韓3カ国の再エネポテンシャルや二酸化炭素の国内貯蔵能力などを考慮すると、日中韓3カ国による水素経済圏の構築の可能性を含め、協力に向けた知恵が求められる。